※この日記はフィクションですが、ライトノベルフェアは本当です。
「今年も生協書籍部の一番暑い日がやってきた。すなわち在庫全品15%OFFデーだ」
そう吠えてBOOKSフロンテに向かった会員が、部室に戻ってくるなり目を血走らせて言い放つ。
「ラノベフェアが始まってたよ!」
ライトノベルフェア。
「書店は二種類に分けられる。すなわちラノベを置いているところとラノベを大量に置いているところだ」という言葉もあるが、書店におけるラノベとはそもいかなるものなのだろうか。実際ラノベというのは置いておけばそれなりに売れる商品であり(無論立地や客層もあるが)、わざわざフェアと銘打って並べる必要のないジャンルである。
しかしながら、残念なことに「売れるラノベ」というのは決まっている。アニメ化作、人気シリーズ、人気作家の新作……。その結果、メジャー作品とは言い難い多くのラノベは読まれないまま誰の目にも触れられず書店から消えて行ってしまう。特にオタク向け書店でないところにおいてその傾向は顕著であろう。そのため、ラノベをある程度置いているがオタク向けではない書店にとって、面白いのに買われないラノベを紹介するのは実際必要なことなのだ。名古屋大学の生協書店であるBOOKSフロンテにおいても状況は大体同様である。
「ラノベフェアやりたいので協力してくれると助かります」
ガガガ文庫に報われぬ愛を注ぎつつ新刊を買ってはうなだれる毎日を送るSF研ライトノベル班長。彼にとって、BOOKSフロンテからの打診は渡りに船だった。愛憎半ばするガガガ文庫。それを皆に紹介し、マイナーだけれども楽しめる作品を世のラノベファンに知らしめたい。ついでに地雷も踏ませたい。ガガガ文庫中心にラノベを選定しよう。ポップもデザインしていこう。
そうこうするうちに、選定した本は続々BOOKSフロンテに届いていった。何の因果か、15%OFF当日にそのラノベどもが平台に並ぶ。
地獄の夏が始まろうとしていた。
※重ねて言いますが、この日記はフィクションです。ですがライトノベルフェアは本当です。地雷率は0%です――少なくともポップを書いた会員たちは面白いといって選びました。