名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

【新年度目前!】オススメ本一文紹介【その1】

もうすぐ新年度ですね。

読書でも始めてみようかと思う皆様や、知らない本を読んで見たいなと思う皆様に当会部員たちがオススメ本を一文で紹介いたします!!!

 

 

 

【玄塗義人のオススメ本】・・・新入生に限らず新規部員をお待ちしております。

 

地下室の手記ドストエフスキー

 勇気ある知識人として知らず知らず肥大化した自意識に悩んだことがある人は一度読んでほしい。

『悪意の手記』中村文則

 悪意というのは大抵はしょうもないものであるがそれを非常にうまく描きだすのが中村文則という作家である。
〈矢吹駆シリーズ〉笠井潔

 現象学を駆使する探偵矢吹駆が革命家や哲学者と思想バトルしていく作品で読むと知能が向上した気分になるし、ハイデガーを批判しだしてしまう。

『密会』安倍公房

「壁」や「砂の女」で知られる安倍公房のエロスと狂気が爆発した問題作!

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

 初めて読んだ時、粋なタイトルとは裏腹に石を投げつけられる宗教爺に感覚を同調させるヘンテコな話としか理解できなかったがディックの他作品を読み進めるにつれて、石を投げつけられる宗教爺に感覚を同調させるということこそがディックの作品のおもしろさだと確信したので、皆様にもこの感覚を味わっていただきたい。

『時間衝突』バリントン・J・ベイリー

 表題通り2つの時間‐過去からの時間(我々が通常、時間と感じているものだ)と未来からの時間(?!)が衝突する、哲学と科学にホラとスペースオペラケレン味とやっぱりホラを混ぜた最高な作品。

『最初にして最後のアイドル』草野原々

 作者は狂ったオタクであり、狂っているがゆえに科学と哲学を武器として宇宙を相手に愛を語る。

『ダークウェブ・アンダーグラウンド:社会秩序を逸脱するネット暗部の住人たち』木澤佐登志

 近頃世を賑わせるダークウェブについての詳しいレポとオルタナ右翼の思想背景を解説した一読すべき本。

『N.H.Kにようこそ』滝本竜彦

 ひきこもりのところに中原岬という天使(メンヘラ)がやってくる話なんですが、この世界には中原岬はいないので、まぁようするにひきこもりになる前にこの本を読んで、ひきこもりにならないようにするべきだし、まかり間違っても岬ちゃんがやってくるのを期待してひきこもりになってはいけない。

 

 

 

【こゅ沢のオススメ本】・・・怪奇幻想文学がすきです…

『ゴーレム』グスタフ・マイリンク

 ゴーレムが町中大暴れするような作品ではなく、迷宮のようなプラハを舞台に自己や神などについて神秘的かつ魅惑的かつ魔術的に物語った世界で一番美しい幻想文学だと私は思っています…

『夢の遠近法』山尾悠子

 本邦幻想文学界における伝説の作家の短篇集です…

『伝奇集』ボルヘス

 バベルの図書館、という言葉に何かしら胸がときめいた人はボルヘスが生み出す南米特有の奔放な想像力と博学からもたらされる圧倒的な知識が融合した精緻な思弁的幻想短篇集『伝奇集』を読むといいでしょう…

『ムントゥリャサ通りで』ミルチャ・エリアーデ

 宗教学者として有名なエリアーデですが、幻想文学も多く物しており、本作は彼の代表作であり、また、読むうちに登場人物だけでなく読者までもが迷宮のような小説の中で迷ってしまう幻想文学のお手本と言えるものです…

『都市と都市』チャイナ・ミエヴィル

 二つの町がモザイク状に入り組んで出来た架空の町を舞台にしたミステリ風味の幻想小説でその独特な作品世界にどっぷり浸れる夢のような作品です…

『動きの悪魔』ステファン・グラビンスキ

 ポーランドのポーとも呼ばれるらしいグラビンスキは、この世ではない”あちら側”を描くことに秀でたポーランド随一の怪奇作家です…
『怪奇クラブ』アーサー・マッケン

 三大怪奇小説作家に名を連ねるマッケンが描く古より世界に潜む異神や超時空的恐怖はクトゥルフで有名なラヴクラフトに受け継がれました…

『吸血鬼カーミラ』レ・ファニュ

 表題作は今流行りの百合に該当する妖艶な作品だと思われますが、百合抜きにしてもゴシックな風情漂う怪奇小説の傑作です…

 

 

 

 

 

DBMSのオススメ本】・・・忍/シリア/FF/世界内戦/平成

『アーリア神話 ヨーロッパにおける人種主義と民族主義の源泉』レオン・ポリアコフ

 欧州における民族主義の形成課程を詳細かつ丹念に読み解くことでアーリア神話ー反ユダヤ主義の歴史の全貌を捉えていく必読すべき名著。

『帳簿の世界史』ジェイコブ・ソール

 脇役と思われがちなものが意外にも大きな力を秘めているものであり、歴史が会計を通してどのように変化していったかを解説する大変おもしろく読むのにも疲れない歴史書

『法思想の水脈』森村進

 歴史を通して法がどのように捉えられてきたのかという法思想史は重要であるものの説明が難解かつ量が膨大になりがちであるが、本書はこれを簡潔かつ明瞭に紹介することに成功し、法学を専門とせずとも楽しんで読み理解できる良著となっている。

『社会はなぜ左と右にわかれるのか』ジョナサン・ハイト

 人の政治的傾向はなぜ右翼左翼に分かれてしまい、お互いを分かり合うことができないのかという社会を悩ます問題を道徳心理学や認知科学の観点から解き明かした書籍。

テロリズム 聖なる恐怖』テリー・イーグルトン

 タイトルで誤解しがちだがテロの話を直接するものではなく、『文学とはなにか』で有名な批評家イーグルトンが聖性を有した恐怖という両義的存在をあらゆる文学から暴き出し捉えようとする大胆な書。

『テロルの現象学笠井潔

 テロル/大衆/革命/英雄について思案する時この本ほど精神的に私を鼓舞してくれる本を私は知らない、と私の友人が語っていたのを覚えている。

『哲学入門』戸田山和久

 哲学と書いてあるがデカルトハイデガーといった我々一般人がまず初めに思い浮かべる哲学ではなく、人間に自由意志は存在するのか、意識はどのように発達してきたのかなどという科学哲学を名大名物教授戸田山が解説する本である。

イスラーム思想を読みとく』松山洋

 イスラームについて無知な状態で、イスラームを知ろうと思い立ったときにはこの本をまず手に取ればよいと思える良著。