- 作者: 堤未果
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/01/22
- メディア: 新書
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貧困層は最貧困層へ、中流の人々も尋常ならざるペースで貧困層へと転落していく。急激に進む社会の二極化の足元で何が起きているのか。人々の苦難の上でいったい誰が暴利をむさぼっているのか。追いやられる人々の肉声を通して、その現状を報告する。これはもしかしたら日本の近未来図なのかもしれない…… (内容説明より)
正直、SFとはなんの関係の無い本である。ただ、最近読んだ本を考えたときに一番最初に思いついたのでこれについて書いていこうかと思う。
内容としては、アメリカ社会の暗い部分を分かりやすく解説していると同時に医療・安全保障・教育の民営化に反対し、市場の競争原理に疑問を投げかけるというものであったと思う。
それだけなら特に記憶にも残らなかっただろうが、医療費による破産、イラク戦争による軍事ビジネスの実態、アメリカになぜ肥満が多いのかといった解説の際の事例が非常に興味深かった。
その中でも、学生による学費ローン破産は特に印象深かった。そもそも学生で大学に通うために借金地獄とか考えたくもない話である。
確かに、暗い部分にばかりスポットをあて、明るい部分を完全に無視しているという点においては多少気になるがそれを差し引いても読んでみて欲しい本である。堅苦しそうに書いたが、非常に読みやすく3,4時間あれば読み終わると思う。(松田)