名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

仕掛島(東川篤哉)

岡山の名士が亡くなり、遺言に従って瀬戸内の離島に集められた一族の面々。球形展望室を有する風変わりな別荘・御影荘で遺言状が読みあげられた翌朝、相続人の一人が死体となって発見される。折しも嵐によって島は外界から孤絶する事態に。幽霊の目撃、鬼面の怪人物の跳梁、そして二十年前の人間消失――続発する怪事の果てに、読者の眼前に驚天動地の真相が現出する!
本屋大賞作家が満を持して放つ、謎解きの興趣とユーモアあふれる本格推理長編。

 今年二度目の孤島ミステリレビュー。わずか1か月半でかぶるのはなかなか珍しいかもしれない。
 『館島』と同じ系列の本作だが、読んでいなくても全く問題ない。僕も『館島』は昔読んだが、トリックの根幹だった館の構造くらいしか覚えていないし。東川作品特有の軽いノリ&ユーモア探偵with年下助手というおなじみの(?)ペア&伊坂幸太郎ばりのギャグパートに潜む伏線も健在である。


 以下ネタバレ。


 鷺沼博史=西大寺慶介は読めた。普段はミステリの犯人やトリック当てはまったくもって不得意だが、東川作品はほぼ網羅してるのでさすがに察せます。でも道楽和尚=北崎信也は分からなかった。
 「仕掛島」の名の通り、館には秘密通路や秘密の部屋があり、巨大な仕掛け絵本も登場する。使用人の小池夫妻が作中ほぼ空気だったので何か終盤にあるのかと思ったら何もありませんでした。孤島での料理人ポジションが必要だったのかもね。(肇)