名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

原点回帰ウォーカーズ(森田季節)

原点回帰ウォーカーズ (MF文庫J)

原点回帰ウォーカーズ (MF文庫J)

私の変態センサーが火を噴いた。あたり。さすがは森田先生、百合分もばっちり補給。簡単に言ってしまえば学園異能ミステリ。ミステリ(笑)だけど。

おかしな人間ばかりが通う私立脚伽坂学園には、当然のようにおかしな事件ばかりが起こる。そんな学園の平和を守るため、日々戦い続ける男・それが山崎章夫だ。ある時は失踪した天才音楽家の行方を追い、ある時は密室殺人の謎に挑み、またある時は突然美女と化した同級生の秘密に迫り、そしてことごとく“命を落とす”。そう、これらはすべて『彼ら』の陰謀なのだ!章夫の幼なじみであるアキラは、なんとか章夫の“結末”を変えるべく、学園の三奇人と共に『彼ら』に立ち向かうのだが―。ツッコんだら負けの、“運命ねじ曲げ系”奇天烈学園ファンタジー。 (「BOOK」データベースより)

プリンセスビターのときもそうだったけど、男、いらない(´・ω・`)いやまぁ純愛ものとしてよくできてはいるんだけどなぜか百合のほうがよくできている。しょうがない。あと絵(パッケージング)は完璧ですね。文句のつけようがない。短編形式で、ミステリ仕立てながらそんなにストーリーよりではなく、かといって掛け合いで話が進んでいくタイプでもない不思議な…あぁ、ハルヒに近いのかな?このあらすじじゃわかんないとおもうけど、主人公はアキラ、女の子の一人称です。
森田季節といえば百合、は置いといて結構人間臭くない文章というか淡白で熱を感じさせない、感情移入を拒否するものが多いような気がしますが、本作はわりと作者が身近に感じられる趣をもってますね。ラブラブです。たぶんこの時期はまだ百合はネタの一部というか、狙って書いてるという感じではないです。ラブラブですが。異能部分に関しては、神社仏閣加持祈祷、武とか芸術、どうみても作者の趣味全開です。キャラクターが多いのも珍しいですね。群像劇ちっくというか。ようじょもあるし、ドSもあるよ。基本はトンデモですけどね。
突き抜けたおもしろさはないですが、万人に薦められる高いポテンシャルがあるとおもいます。読みやすいし。気が向いたら是非どうぞ。 (つの)