名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

新歓読書会

今更ながら4月30日に行われた新歓読書会の報告をば……。

とりあえず、無事に終わってよかったです。それが一番です。新入生もそれなりの人数が参加してくれて、会の中でも面白い意見を出してくれていたので、そういう意味でもきちんと新入生が「参加」できた、実りのある新歓読書会になったのではないでしょうか。

今回の課題作は、角川書店より刊行されているアンソロジーシリーズ『不思議の扉』の第一弾「時をかける恋」に収録されている、梶尾真治の「美亜へ贈る真珠」。

会の中では、美亜という将来を約束した相手がいるにも関わらず「航時機」に乗ったアキの心情とは何か? 「私」と美亜は結局結婚して子供まで作っているわけだけど、「私」と美亜の間に成立している感情とはいったい何か? アキと美亜って本当に愛し合っていたの? アキが流した涙の意味とは? というようなことが中心になって話されたように思います。
それらの事柄を議論していく過程で、「私」っていうのは未来からタイムマシンに乗ってやって来た「アキ」なのではないかという「私=アキ説」や、実は「私」と美亜の間に生まれた息子は「私」と美亜の子供ではなく、あらかじめサンプルとして採取してあったアキの遺伝子と、美亜の遺伝子を掛け合わせたことによって生まれた子供で、孫の名前が「美樹」なのは彼女が「美亜」と「アキ」の遺伝子を受け継いでいることの暗示なのではないか、という「息子の名前はミキアキ説」など、根拠はないけど面白いトンデモ意見が飛び出して、逆にその説の根拠となるような部分を探す為、参加者全員で作品中の文章を全力で解釈(曲解)し直そうとする場面もあり、とても面白かったです。

冒頭でも述べたとおり、今回の読書会は新入生もきちんと「参加」できた実りのある読書会だったと思います。ですが、あくまでも「新歓読書会」です。今回は部員がホストで、新入生は「お客様」という立場でした。なので、お互い遠慮してしまう部分も少なからずあったのだろうと思います。
新歓期が終われば新入生の皆さんもちゃんとした「部員」になります。以降の読書会では、同じ「部員」という立場としてより活発な議論ができることを楽しみにしています。

新歓読書会報告は以上です。来てくださった新入生の皆さん、本当にありがとうございました。

(もりぃ)