名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

任侠沈没(山口正人)

任侠沈没 (1) (ニチブンコミックス)

任侠沈没 (1) (ニチブンコミックス)

10秒で分かるあらすじ:

任侠集団赤竜流組の若頭、大紋寺龍伍。組長(オヤジと読む)に妻子を殺されたのを知った彼は、復讐のため親殺しの旅に出ることを決意する。しかし彼の怒りとシンクロしたかのように大地震が起きた! 行く手を阻む亡者の群れ――暴徒、追い剥ぎ、軍隊、殺人鬼――、そして怒涛のごとく連鎖する自然災害――地震、隕石、噴火、ガス――。果たして大紋寺龍伍はかたき討ちをし遂げることができるのか!?

……って書くとハードボイルド復讐譚って感じだが、こんなあらすじで任侠沈没の面白さが分かるわけもなく、実際はアッパータイプのギャグが大真面目に応酬されるタチの悪い漫画だといえる。主人公はやたらドスを振り回したがる正義漢で、非日常的な場面でも彼が乱入すると一気にその雰囲気が崩壊してしまう。終末ものに多くある人間の残酷さや貪欲さが浮き彫りにされる展開に「任侠道の風上にもおけん!!」「任侠道を叩き込んでやる!!」とドス一本でNOを叩きつける様、魅力的というにはアクの強すぎる面々などがポイント。
んな真面目なこと言ってもらちが明かないので好きなシーンベスト3を挙げてみるよ!!

  1. 温泉に入っていたヤクザの集団が間欠泉でフッ飛ばされる
  2. 赤信号は渡っちゃいけなかった
  3. やはりNHKはスゴかった

読んでない人はいったい何なのかよく分からないと思うし、書いてる自分でもよく分からない。

言葉には力があると信じているので、「読まないと分からない」とかその種のフレーズはあまり使いたくないのだけれど、この作品の場合は躊躇いなく使用える。つまり怪作、加えて面白い。


※先月の『第四間氷期』読書会で「第四任侠期」「水棲人に任侠を叩き込んでやる!」とか茶々入れてすみません!! でも反省はしていないです!! なぜならこれがおれの任侠道だから……!
(ヨネシチ)