名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

超妹大戦シスマゲドン(古橋 秀之)

超妹大戦シスマゲドン (1) (ファミ通文庫)

超妹大戦シスマゲドン (1) (ファミ通文庫)

あまりにも間違っている。いや、著者も2巻のあとがきで「明らかに間違っているものを元気に書き切るのが目標」と言っていたので間違ってはいないのだが、間違ってる。妹を操縦する「妹コントローラー」を手に入れた兄妹が戦ったりするお話。この時点では何とも、軽薄なただの萌え系小説であるように思えるではないか。確かにそれは大体あってる。ただなにか、根源が違う気がする。

一番おかしいのは次々に出てくる「兄妹」たちだろう。妹の定義ってなんだったっけ?兄がいる事?女である事?人間である事?生きている事?そうじゃない。あなたが妹だと思ったらそれは妹なのだ。いやしかしこれは妹じゃないだろう冷静に考えなくても。なんでも妹ってつければいいもんじゃないだろう。

本を開いた瞬間から突き放してくる。読まなくても、見るからに字面がおかしい。声に出して読みたくなる。読んでみよう。きっと正気を疑う。想像などした日には噴出必須である。いや、想像しなくても親切に挿絵が付いているから、どちらにしろ噴き出す。馬鹿馬鹿しい等という言葉では生ぬるい。そんな言葉で済ませられると思ったらきっとあなたの心は広い。あまりの酷さに私は頭痛がし、腹が立ち、この本を投げ捨てようかと思ってしまった。メロスだったら走り出している。突っ込みなど追い付くはずもなく。ただただ耐えることしかできないのだ。

ああ、日本は今日も平和です。
(條電)