名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

暗黒神話 (諸星 大二郎)

暗黒神話 (ジャンプスーパーコミックス)

暗黒神話 (ジャンプスーパーコミックス)

 主人公が幼い頃諏訪で受けた聖痕を始まりとして、主に西日本の様々な遺跡を巡り8つの聖痕を受け「アートマン」となるまでを描いた古代英雄冒険譚。30年以上も前の作品で当時は週刊少年ジャンプで連載されていた。今のジャンプの連載と比べると時代を感じますね。
 話全体としては日本神話を主に使いながら、スサノオなどに仏教やバラモン教などを取り入れつつ独自の解釈を加えており非常に興味深い。登場人物は唯一真理の絶対者であるブラフマンからアートマンの聖痕を受けた主人公武に謎のナビゲーターとして老人竹内、「アートマン」の力を狙うクマソの子孫の菊池一族などである。怪物の姿で描かれるタケミナカタやオオナムチは土偶のような見た目で独特なセンスで描かれている。スサノオ馬頭観音=”馬の首”暗黒星雲という解釈は独特過ぎる。さまざまな遺跡や多くの独自の説が登場するのでそう言うのが好きな人はかなり楽しめるんじゃないかと思う。ラストは奇想天外というかなんというかどういえば分からないので実際に読んでみるのが一番いいと思う。この終わり方だとヤマトタケル弥勒になってしまうのか。あと表題作以外に「徐福伝説」収録されています。こちらは月刊のほうに掲載されたものものだということです。
 
 せっかく興味深い内容なのに自分の知識とかが無さ過ぎてうまく表現できてない。もっと知識があればいろいろと面白いことが書けそうな内容のに、これは大きな反省点だ。あと読んでる途中で野見宿禰武内宿禰がごっちゃになってしまい「なんでここで相撲の神が出てくるんだよ」と思ってしまったが、読んでるうちに気づいて自分の馬鹿さ加減に驚いたりしてた。(toshi)