- 作者: 高田崇史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/02/13
- メディア: 文庫
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冒頭から首なし武者に迫られているというように、ホラーな展開である。この展開の種明かしはラストあたりであるので、楽しみにしておこう。今回殺されるのは前作で登場した人物であるが、最近は以前登場したキャラが被害者だったり、引き続き登場したりと作品間でのつながりが強くなっているような印象を受ける。民俗学的考察はいつもやたらと製鉄民族に偏っていたりと突拍子のないものが多いが、今回の考察はそれに輪をかけて荒唐無稽なものだと思う。平将門や菅原道真を河童だと言い放ち、アマツミカホシやスサノオさらにはアマテラスまで河童だというのである。多分日本は河童で埋め尽くされているのでしょう。ここでいう「河童」はもちろん妖怪のことではなく、シリーズで語られる「鬼」のように朝廷などの権力者に逆らったものたちのことを意味していますが、そう考えてもこの考察はとんでもない。アマテラスに関しては今回も思わせぶりな発言があり、いつかアマテラスに関する考察もしてくれるのでしょう。正直このシリーズをミステリーと呼ぶには違和感があります。主人公は「名探偵」というような役割を担うキャラではなく、事件も時として主人公の考察が解決の糸口になることはあるが、基本的に主人公は関与しない。今回なんて全く関係のないところで解決してしまっている。基本的に本の構成が最初の十分の一で事件、最後の十分の一で解決、残りは民俗学的考察というミステリーにあるまじき構成となっています。というわけで純粋ミステリー好きには勧められない本ですが、「トンデモ考察面白い!」というような人にはオススメです。(toshi)