名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

cloth road (倉田英之、okama)

CLOTH ROAD 1 (ヤングジャンプコミックス)

CLOTH ROAD 1 (ヤングジャンプコミックス)

「コンピュータの最小化が進み、ケーブルは糸のように基盤は紙よりも薄くなり、コンピュータは服となった」(1巻の裏表紙より)
極限まで発達したナノテクノロジーによりコンピュータの小型化が進み、服とコンピュータが融合した時代。服飾ブランドの影響力は著しく強くなり、服を仕立てる「デザイナー」と、その服の機能を最大限に引き出す「モデル」は時代の寵児となった。生まれてすぐに捨てられたファーガスは、服飾デザイナーのグスタフに引き取られ、貧民街でデザイナーとして育てられ、「ウォーキング」―モデル同士が戦う、ファッションショーと決闘の要素を併せ持った見世物―の服をデザインして生計を立てていた。ある日、契約していたモデルと決別し、ニートになったファーガスの耳に、グスタフが倒れたとの知らせが入る。投げやりになってしまうファーガスであったが、そこに1人の少女が現れる。彼女はファーガスの生き別れの双子だという・・・。
だいたいこれが1巻のあらすじである。この後2人は両親を探すため世界中を旅するのだが、まぁストーリーのことはこのくらいにしよう。
私がこの漫画のことで語りたいのはバトルのことである。
服で戦うバトル漫画がいまだかつてあっただろうか。あったかもしれない、だが私は知らない。つまり私には初めての経験だったのだ。服での戦い方はシンプルだ。服が武器に変形する、それだけだ。それだけに、服の使い手の個性が出て、面白い。そしてこの漫画では、戦うのはモデルだけではない、服を設計するデザイナーもまた戦っているのだ。モデル同士の手に汗握る肉弾戦、そしてデザイナー同士の頭脳戦のコラボレーションもこの漫画の見所の一つではないだろうか。

(ワタナベ)