名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

9S(ナインエス) (葉山透)

9S(ナインエス) (電撃文庫)

9S(ナインエス) (電撃文庫)

かつて「狂気の天才」と呼ばれた一人の科学者がいた。彼が残した驚異の発明は「遺産」と呼ばれ、それを求める国家や組織は、今でも後を絶たない―。そして現在。海上に浮かぶ循環環境施設スフィアラボが、施設内の「遺産」を狙った武装集団により占拠される。制圧には困難が予想される中、切り札として召集されたのは拘束具に身を戒められた奇妙な少女だった!「遺産」を熟知する天才的な頭脳に、誰もが心奪われる美貌。その正体とは一体…。ついに解き放たれた謎の少女と兇暴なテロリストの壮絶な闘いが今、始まる!電撃が贈る鮮烈なハードアクション。内容(「BOOK」データベースより)

 某少年漫画の主人公のようなバカな主人公と頭は良いけど常識が無いアホなヒロインが、「遺産」と名付ければどんなトンデモ兵器を登場させても許される(キリッと思っている人の趣味のかたまりと、バトル漫画兼ラブコメのような調子で戦っていく話。ある意味とてもラノベらしいラノベ
 細かい設定をラノベだと思って笑い飛ばしていけばそこそこ面白く読める。というかそうでもしないと精神衛生上読んでいられない。非現実的な兵器や変な武器にトンデモ理論を使っていればいいものを、人間に特殊能力を与えるために使ったせいでギャグになってしまっている。おとなしく超能力とかにしておけばよかったのに……。トンデモ理論を適当に読み流しながら笑っていれば楽しく読めるだろう。個人的には2巻の多脚式戦車以外はギャグとして許容範囲内だが、自律式戦車の試験演習なのにレールガンやワイヤーカッターを装備しているアレは許容範囲外。(武)