名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

秘神黙示 ネクロノーム〈1〉

秘神黙示 ネクロノーム〈1〉 (電撃文庫)

秘神黙示 ネクロノーム〈1〉 (電撃文庫)

 今年のはじめに『弧の増殖』を出版しクトゥルフ界にその名を再確認させた朝松健が、13年前に書いたクトゥルフ系ロボットアクション小説。それが、本書『秘神黙示 ネクロノーム』だ。

 舞台は『弧の増殖』と同じ千葉県としつつも、あちらは都市伝説をモチーフにし狭い世界を舞台としていたのに対し、こちらは巨大ロボットに搭乗し世界制服を企む悪の秘密結社と戦うなどずいぶんおおげさな話になっている。
 「古のもの」が作った最終兵器である巨大ロボット「ネクロノーム」。とある事故で5機の「ネクロノーム」のパイロットとなる運命を担わされた5人の少年少女。王道的なロボットもののストーリーにクトゥルフの設定を嵌め込み、どちらも両立させたこの作品は当時としてはかなり冒険した作品だろう。後に与えた影響を考えても、クトゥルフファンなら読んでおきたい。


 クトゥルフ神話もロボットも好きと言う人は、デモンベインも良いがこちらにも手を出してみることをおすすめする。(柴田)