名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

映画『恋は雨上がりのように』


高校2年生の橘あきら(17)は、アキレス腱のケガで陸上の夢を絶たれてしまう。偶然入ったファミレスで放心しているところに、優しく声をかけてくれたのは店長の近藤正己(45)だった。それをきっかけにあきらは、ファミレスでのバイトを始める。バツイチ子持ちで、ずっと年上の近藤に密かな恋心を抱いて……。あきらの一見クールな佇まいと17歳という若さに、好意をもたれているとは思いもしない近藤。しかし近藤への想いを抑えきれなくなったあきらはついに近藤に告白する。近藤は、そんな真っ直ぐな想いを、そのまま受け止めることもできず― 真っ直ぐすぎる17歳、さえない45歳。ふたりに訪れる、人生の雨宿りの物語。

 昔、寮生活をしていたのだが、寮への携帯・漫画・ゲームの持ち込みが不可だった。そんな生活の中での数少ない楽しみの一つが外出だった。
 高校3年生の10月、隣町に模擬試験を受けに行った帰り、帰寮時間までに余裕があったので本屋に寄った。そこで適当に目についた漫画をいくつか買ったのだが、そのうちの一つが『恋は雨上がりのように』だった。
 寮に帰ってすぐさま読んでいたところ、先生に見つかり没収。後に返してもらえたが、受験間近の高校生が恋愛漫画を読んでいたことに先生は何を思ったのであろうか。ちなみに本作が面白かったので、同作者の『九龍ジェネリックロマンス』も読んでるし、家のタンスの奥には『さよならデイジー』も眠っている。

 本作は前述の漫画の実写映画版である。バイト先の店長に恋する女子高生・橘あきら役を小松菜奈が、冴えない店長・近藤正己役を大泉洋が演じている。小松菜奈大泉洋も好きな俳優なので(一番は高良健吾)、非常に楽しく鑑賞できた。
 原作漫画つきの実写映画によくある「2時間でどうやって収めるか問題」を、今作はうまく解決できていたように思う(恋愛系はある程度そのあたりは容易かもしれないが)。あきらの恋愛と部活、親友との不和と復縁をコンパクトかつ分かりやすく描いていた。
 余談だが、店長があきらを病院に連れていくシーンでの車の画角で「北海道212市町村カントリーサインの旅」を思い出して笑ってしまったし、九条ちひろ役で洒落た戸次重幸が出てきたときは爆笑してしまった。(肇)