名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

向日葵の咲かない夏(道尾秀介)

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

去年の本ミス大賞とった道尾秀介の長編第二作。ホラサス受賞者。
夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。

とのこと。解説に書いてあった通り、ミステリ的な点では京極夏彦山口雅也の影響は感じられるし、個人的には麻耶雄嵩の影響も感じられる。
あとは「アンファン・テリブル」なかんじ。こっちは良い例が思い浮かばないけれど。

主観での描写がどうもあぶなっかしくて(わざと)、幻想的な雰囲気すら漂わせる。

ミステリとしては多分、けっこう上手いです。物語としては後味が非常に悪いです。こういうタッチの小説は嫌いじゃないはずなんだけどな……何でだろう。二度と読み返しはしないでしょう。だから、オススメ(笑)