名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

怪異いかさま博覧亭 (小竹田貴弘)

今週は書くような本が読めなかったので、好きな漫画のレビューというか紹介を書いてお茶を濁させていただきます。

怪異いかさま博覧亭 1巻 (IDコミックス REXコミックス)

怪異いかさま博覧亭 1巻 (IDコミックス REXコミックス)

 
 江戸時代の両国広小路の見世物小屋「博覧亭」を舞台にした、妖怪(主に付喪神)と江戸トリビアの詰まったコメディ漫画。毎回読み切り形式となっており、初単行本ということで作者が驚くほど腰が低い。出てくる妖怪たちは鳥山石燕画図百鬼夜行を基にしていると思われるが、可愛らしくアレンジされている。元絵だと鳴釜の手足は気持ち悪いが、もふもふした生き物になっていたり、瀬戸大将がカブいていなかったりというような感じのアレンジが加えられている。妖怪バカの主人公、算盤小僧、ろくろ首、男勝りの妖怪絵師、ドジ忍者や四ツ目屋の友人などほかの登場人物(?)達も個性的である。単行本書き下ろしの江戸豆知識のページは作者自身が「間違っていても責任は取らない」と書いてあるので鵜呑みには出来ないけれど、面白くなかなかに為になるんじゃないかと思う。
 この漫画の一番の魅力と言えば、やっぱり可愛らしい妖怪だと思う。鳴釜とか五徳猫も可愛いのだけれども、二巻から登場する熊野の烏の八咫が一番可愛い。個人的には八咫だけでも正直読む価値がある。妖怪の可愛さや作中で描かれる華やかで活気に満ちた江戸の町に思いを馳せたりと楽しみ方はたくさんあると思う。基本的に江戸とか妖怪が好きな人なら読む価値は十分にある漫画だと思う。(toshi)