- 作者: 東雅夫
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 2009/01
- メディア: 単行本
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「手乗りクトゥルー」:タイトルが非常にかわいらしく文体も子供の日記のように書いてあるが、人間どころか旧支配者すらも超越するような存在が示唆されている。コズミックホラーを面白おかしく表現した良い作品だと思う。
「忠実なペット」:このアンソロに収録されているティンダロスの猟犬もので個人的に最も好きな作品。ティンダロスものなので展開のありきたりさは仕方がない。最後の男の台詞がなんとなく気にいってるだけで、完成度でいえば「白い球体」の方が上の気もするし、奇抜さというか馬鹿さでは「ティラミスのケーキ」の方が上のような気もする。
「やれやれ、また魚か!」:「ディープ・ワンズをだせば神話作品になると思っている」とか「主人公の正体はディープ・ワンズでしたという見え見えオチまであるから始末に負えない」などとあるので安易なクトゥルーものへの批判かと思えばオチは良い意味でヒドイ。ギャグ作品。
「ダゴン秘密教団日本支部シリーズ」:がんばれ!、それゆけ!、負けるな!の三作品のシリーズもの。内容は深き者どもが株式会社をつくったり、チームマイナス六十%を結成したり「でぃーたん」というマスコットを作ったりする話。馬鹿話で深き者どもに愛着が湧いてくる。「「偉大なるクトゥルー様のために!」」
「とあるペットショップにて」:また馬鹿話。店名がPet(shop):Ohta=LR=ayNと店員の肌が浅黒いという描写ですぐにニャルラトホテプものだとわかってしまう。
「・・・ハスター?どんな生物です?」「漢字だと八首蛇、あるいは蓮帝になりますが、正直名状しがたいです。持ってきます?」
というやりとりがツボ。人類終了のお知らせなオチも好み。
「ラゴゼ・ヒイヨ」:このショート・ショート群の中で最も正統派で完成度の高い作品だと思う。オリジナルの邪神を出しつつ800字でしっかり正統派なクトゥルー神話作品を作り上げたのは素晴らしい。
感想を書ききれないのであとは気に入った作品のタイトルを列挙します。「いえきゅぶおじさん」「海柩」「銀河の間隙の先より」「同人誌ネクロノミコン」「宇宙の卵」「不断の探究者」「ホンダのバイク」「お粗末な召喚」「奉仕種族ショゴスとの邂逅」「魚屋にて」「SF促進企画」「日常」こうやって並べて見ると自分は馬鹿話が好きらしいということが分かる。(toshi)