名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

トライガンマキシマム N-3,4(内藤 泰弘)

TRIGUN MAXIMUM Nー3 (コミック)

TRIGUN MAXIMUM Nー3 (コミック)

 表紙のレガート様の格好良さはさておき、ヴァッシュの過去が明かされるなど物語が核心に迫っていく巻です。前巻から続いていたミッドバレイ&ホッパード戦が終わります。ここでGUNG-HO-GUNSの紹介。ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク:ホーンフリーク(音界の覇者)の称号通り、自前のサックスを用いて音を自在に操ります。例えば、共振動を使って相手の脳を揺さぶり殺害したり、ドップラー効果などすべてを計算して同じ強さの波を演奏することで音を消したりします。最後はレガートにナイブズへの背信が知られ、絶殺されてしまいます。ホッパード・ザ・ガントレット:半球型の鉄塊「グーデリア」を装着し、自らを弾丸と化して突っ込む一撃必殺の技を持つ。GUNG-HO-GUNSには珍しく、関係ない人間をあまり殺したがらない性格をしており、殺人快楽者ではなくヴァッシュへの復讐のためにGUNG-HO-GUNSに所属している。最後は技の反動による死か?この二人はGUNG-HO-GUNSの中でも人間味のある方であり、戦う理由も既存のものとは違っている。このことがこのミッドバレイ&ホッパード戦を特別なものにしており、またストーリーの分岐とも言えるこの位置に置かれているのだろうと思う。この戦闘中にヴァッシュはジュライのことを思い出し、さらにメリルはヴァッシュの「負の感情」に触れるなどそれぞれのキャラが新しく始まっていくため、ここを境にして前半・後半と分けても良いだろうと思う。
 このあとは日常編とも言える展開からのちに続くダブルファングとトリップオブデスのミスリーディングが始まります。このミスリーディングは良くできていると思うのでこの先に期待しておきましょう。過去編ではヴァッシュとナイブズの生い立ち、今の彼らを形成した事件・人物が明かされます。つまりここでなぜこの二人が敵対しなければならなかったのかが語られます。過去編ののちにはナイブズの侵攻が本格的に始まります。ここから一旦ウルフウッドに焦点が当たりますが、この先の展開を知っていると切ない気分になります。
 今回はカラーページがなかったのが残念だった。新装版の目玉であるヒドイあとがきまんが「バレットダンスサルーン」は今回も飛ばしてます。N-3ではナイブズのキャラが完全に崩壊しており、N-4のほうではせっかくでてきたGUNG-HO-GUNSが作者の怠惰により簡易化され一体化されることで新たな生命体が誕生することとなりました。帯にも書いてありますが、現在映画「TRIGUN Badlands Rumble」が絶賛公開中です。(toshi)