名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

幽霊たち(ポール・オースター)

幽霊たち (新潮文庫)

幽霊たち (新潮文庫)

あらすじ

私立探偵ブルーは変装した男ホワイトから、ブラックを見張るようにと依頼を受ける。毎日見張り続けるブルー。だが、ブラックの日常には何の変化もない。次第に、不安と焦燥と疑惑に駆られるブルー……。

ポール・オースターというのは現代アメリカ文学の雄というか、重要人物の一人らしいのですが、彼が一躍有名になったきっかけというのがニューヨークを舞台にした三部作『ガラスの街』『幽霊たち』『鍵のかかった部屋』です。本書はその二作目。
いつになっても行動を起こさない、そもそも行動を起こすかどうかもわからないブラック。それを見張り続けるブルー……というなかなか前衛的な小説です。こういう状況は専門用語でゴドー待ちと言うらしいですが、あらすじだけ読むと面白そうだと思うかもしれません。ただ実際に読むとマイペースな回想、よくわからない挿話が続くばかりで、僕にはすごく退屈に思えました。120ページが長い。でも、あとがきが結構興味深かったです。


ニューヨーク三部作は順番に読まないと意味がわからない、つまらないという話をネットで見たので、それを信じたいところです(あとがきで訳者は、順番は関係ないと言っていますが……)。(K内)


(註:他に読んだオースターはもっと面白かったです)