名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

超音速漂流(N・デミル&トマス・ブロック)

……例会途中で抜けてバイト行って部室行ったらみんながゲームをやっていて、それがかつて若干やりたいなあと思いつつもボドゲ係の「これバカゲーだから」という一声により一度もやる機会のなかった作品だったので、なんというか……うん。
ルールとしては、洋館を探索するプレイヤーたちの中に一人裏切り者が紛れ込んでて、殺したり殺されたりというものだそうです。ゲームスタート時に誰が裏切り者なのかは決まっておらず、洋館探索中に裏切りイベント(実は洋館は吸血鬼の館だったのだ! とかミイラの巣だったのだ! とかいっぱいある)と裏切るプレイヤーが決定され、戦ったり逃げたりすると。今回の洋館にはフランケンシュタインの怪物がいたみたいです。


さて読んだ本の紹介でも。

超音速漂流 (文春文庫)

超音速漂流 (文春文庫)

軍のミサイル実験に巻き込まれ、飛行中に胴体に穴が開いたジャンボジェットを舞台とし、生き延びようとする生存者たちの苦闘に、事故を隠したい軍や訴訟回避のため墜落してほしい航空会社の思惑が絡まっていく。
主人公たちと先述の思惑を抱えた航空会社の通信は、この小説の大きな見どころだろう。外部からの援助が見込めない災害ものはよくあるが、味方だと思っていた存在が主人公たちを葬ろうとしてくるというのはなかなかない。主人公たちが彼らの思惑をいつ察しどう切り抜けるのかは、読んでいておおいに気になりついついページをめくってしまうポイントだった。


飛行機の急減圧による酸欠のため脳障害を負った生存者たちに、飛行機の操縦桿を握ろうとする主人公たちが妨害されるという話の流れは、なんというか若干政治的に正しくない気もする。主人公が操縦席に座ると、パーになった副操縦士が「ぼくのせきー」っつって怒って殴ってくるの。うーん。
また「正気を失った乗客たちが操縦室に押し寄せてくる! こわい!」などのパニック演出に飛行機ゾンビ映画『デッドフライト』を思い出しぐんにょりしたが、結構楽しめるパニック・サスペンスだった。

デッド・フライト [DVD]

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(ktgr)