名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

旅のつばくろ / 飛び立つ季節 旅のつばくろ (沢木耕太郎)

旅のバイブル『深夜特急』で世界を縦横無尽に歩いた沢木耕太郎。そのはじめての旅は16歳の時、行き先は東北だった。あの頃のように自由に、気ままに日本を歩いてみたい。この国を、この土地を、ただ歩きたいから歩いてみようか……。JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」で好評を博した連載が待望の単行本化!

16歳のとき初めて一人で旅した秋田県男鹿半島檀一雄の墓に参った福岡県柳川、吉永小百合と語り合った伊豆の修善寺……
旅先での風景を前に、「あの頃」と「いま」が交錯する。
JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」で人気を博した連載などから35編を収録、
深夜特急』の著者が気の向くままに歩き続けた、国内旅エッセイ集。

 数年前の記憶で曖昧なのだが、沢木耕太郎は「過去の旅をなぞるような旅はしない方がいい」とエッセイ中で言っていたはず(結構若いときの文章だった気がする)。なので、かつて自分が訪れた街を再探訪して思い出を語ってゆくスタイルの多い本作に、いささか驚いた。
だが沢木の旅行記が面白くないわけがないので、その辺りは安心安定。
 また、沢木耕太郎と言えば海外各地をめぐるエッセイや人物を対象としてルポルタージュとして有名だが、取材や著名人との交流のために日本各地を訪れることはあっても、国内旅行のエッセイのイメージはあまりなかったので、意外と新鮮に読めた。私は高校時代に沢木耕太郎の書籍はほとんど読んだが、大学に入ってからはSFばかりで、以前ほどは追わなくなってしまっていた。本作で改めて沢木耕太郎の良さを再確認できた。次は『天路の旅人』でも読もうかね。
 ちなみに『春に散る』が実写映画化されて現在上映中なので、興味のある方は映画館へ。


 ん?SF?ミステリ?何のことやら。(肇)