第九シリーズ(十文字青)

ぷりるん。~特殊相対性幸福論序説~ (一迅社文庫)

ヴァンパイアノイズム (一迅社文庫)

絶望同盟 (一迅社文庫)

『絶望同盟』のカラーページと裏表紙のネタバレっぷりに絶望した！…特に影響はなかったけど。
『ぷりるん』はやるせなさ『ヴァンパイアノイズム』はせつなさ『絶望同盟』は面倒くささ。が、主題なのかな。
久々にダークな話を読んだ。まぁ良くも悪くも十文字青の作品。『薔薇のマリア』の心理描写を面白いと感じる人にはおすすめ。ストーリー構成とか別にどうでもいい。勢いと雰囲気の作品。誰かがなんかうじうじする話。または作者の鬱積とかリビドが爆発する…ってほどではないけど集約された話。半エロ本。登場人物の思考パターンが常に作者で誰が考えているのかわからないとかもどうでもいい。キャラの設定自体はいいとおもうし。『ばけてろ』よりはぜんぜん面白かった…というか『ばけてろ』はひどかった。いや、『ばけてろ』の話はいい。あれはあれで挑戦作。とにかく、このシリーズでは基本的になにも進展しないし、はじまらないし、おわらない。うじうじして、最後にちょっと自己満足があってそれでおしまい。個人的にはそれで十分だとは思うのだけれど。なにはともあれ即行動、成果がすべてみたいな価値観を持つひとはこの本を読みすすめることさえできないかもしれない。ネチネチと考えてしまう人、またはかつてそうだった人、悩み多き青春を送っている人(笑)には共感できる部分があると思う。でもだからこそ読みすすめることができないかもしれない。痛い。暗い。エロい。…最後のは関係ないか。暗黒ライトノベルというには最後にちょっと救われちゃうし、どうなんだろう。あ、ジャンル的にはファンタジーではなく現実系。ネットでちらっと感想をみてみたら『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』が引き合いに出されていて納得。どちらも表紙買いをすると苦しむ作品。でもあのポップさはこちらにはない。書いてあることからなにかを汲み取る、というよりも書いてあることを刺激として自分の考えをみる方向で読んだほうがよさそう。とりあえずラノベ棚に突っ込んでおくので、なんかうじうじしたい人はぜひ読んでください。幸せを感じている人は読まないほうがいいです。(まつの)