名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

トラウマイスタ

トラウマイスタ 1 (1) (少年サンデーコミックス)

トラウマイスタ 1 (1) (少年サンデーコミックス)

いわゆる能力系バトル漫画。能力系バトル漫画といってもいくつか種類はあるが『トラウマイスタ』は「スタンドバトル」タイプの漫画である。
「スタンドバトルタイプ」とはその名のとおり『ジョジョの奇妙な冒険』に出てくるスタンドのように、もう一人の自分ともいうべき存在を駆使して戦う漫画のことである。
この手の漫画は多くの場合ジョジョの影響を受けているのだが、この漫画は特にその傾向が強い。ジョジョへの近似値の単位を「1瞳のカトブレパス」とすると、『トラウマイスタ』はだいたい「0.7瞳のカトブレパス」になると言えばその影響の強さはお分かりいただけるだろう。
ただ似てるのは戦闘時の表現や擬音においてのみであって、漫画の内容としてはジョジョとは違い真っ当な少年漫画路線を歩んでいる。
ここで少しだけ世界説明を。主人公達「トラウマイスタ」は自身のトラウマの具象である「アートマン」を駆使して戦う。このアートマンを操るには「反魂香」と呼ばれるお香を必要とするのだが、敵組織「チャンドラー」はそれを悪用して世界征服を企んでいる。主人公の「ピカソ」は相棒のアートマンゲルニカ」と共に「チャンドラー」の野望を打ち砕くため戦うのである。
実に王道的なストーリーだと言える。これ以外にもライバルとの共闘や友情を育んだりヒロインを救うために修行したりと王道的なストーリーがあるのだがそこは自分で読んでいただきたい。
バトルでも「スタンドバトル」ものにはかかせない頭脳戦も押さえているし、逆に少年漫画的な気合いと根性がものを言うシーンがあったりといろいろ見所があり面白い漫画なのだがいかんせん読者受けが悪かった。
連載誌は「少年サンデー」だったのだが『トラウマイスタ』は絵や話の運び方に少々「癖」があり、サンデーの読者層にはあまり受け入れられるものではなく全5巻で打ち切りとなった。おそらく「チャンピオン」あたりならもう少し長く連載できたのではないかと思われるのだがそれはそれでろくなことになりそうもないので微妙なところである。
ところで、チャンピオンの看板漫画といえば『侵略!イカ娘』であるのは周知の事実であるが、この度『イカ娘』がアニメ化されることが決まった。公式サイトもすでにできている→http://www.ika-musume.com/
SF研ブログ読者なら勿論視聴することは当たり前であるが一応確認しておく。見ろ。そしてDVDを買え。BOXを最低3セット買え。
(柴田)