名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

不完全神性機関イリス(細音啓)

アンドロイドのメイドさんが人類の敵と戦う? それまほろさんですやん。
っと、冗談は置いといて、「不完全神性機関イリス」です。
主人公がゴミ捨て場で拾ったアンドロイドを修理して、メイドとして傍に置いといたら神(的なもの)に祝福を受けてメイドさんが人類の救世主になっちゃいましたー、みたいな。中学二年生の妄想をそのまま出版したようなライトノベル。二巻では主人公にもチート臭い結界を生やしたりして、まぁファンタジアですし。
で、これだけだとただのありがち厨二ファンタジーなのですが、この作品は作者の別シリーズ、「氷結鏡界のエデン」の1000年前の舞台でやってるんですね。イリスでの出来事がエデンで歴史として語り継がれているとか、イリスに出た一部の登場人物がエデンにも登場しているとか。というかイリスさん、何でエデンではキーホルダーになってますのん? 何があったんですのん? みたいな楽しみ方。割とよくある? 知ってる!
私は戦うメイドさんに釣られてイリスから読み始め、いまエデンを読んでいるのですが非常に楽しんでおります。出版されたのはエデンのほうが先なので、読み方としては逆なのですがそれでも何ら問題はない。安心!

あとエデン読んでいて思ったのですが場面(シーン)の切り方がTRPGっぽいんですよね。三巻とか特に。
TRPGではプレイヤーが話したいことを言い終わったり、思う存分演出をしたらグダる前にシーンを切るのですが、エデンでもそれに近いものを感じますね。あと新しくシーンに入る時、地の文で状況説明をしたり。リプレイなんかを読むと言いたいことがなんとなく分かるかと……というか伝われ!

最後に、どうでもいいのですが、「飛べない蝶と空の鯱」を読んだ後だと、エデンの主人公の設定を見た時凄い既視感がね。結構なネタバレになるので詳しいことは言わないですけど、というかこれ自体ほぼネタバレですけど。

飛べない蝶と空の鯱 〜たゆたう島の郵便箱〜 (ガガガ文庫)

飛べない蝶と空の鯱 〜たゆたう島の郵便箱〜 (ガガガ文庫)