名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

老人と宇宙(ジョン・スコルジー)

老人と宇宙(そら) (ハヤカワ文庫SF)

老人と宇宙(そら) (ハヤカワ文庫SF)

遠すぎた星 老人と宇宙2 (ハヤカワ文庫SF)

遠すぎた星 老人と宇宙2 (ハヤカワ文庫SF)

最後の星戦 老人と宇宙3 (ハヤカワ文庫SF)

最後の星戦 老人と宇宙3 (ハヤカワ文庫SF)

PiT用に読んだもの。本来なら最初の「老人と宇宙」だけでよかったのだけど、一応シリーズ物であるため「遠すぎた星」「最後の星戦」も読了。5日くらいであっという間に読めた。
基本的には、75歳以上の老人のみが入隊出来る「コロニー防衛軍」に入隊し、残酷なエイリアンと戦う話である。あらすじだけ聞くとギャグかと思ってしまうが、困ったことに本当で、しかもめっぽう面白い。地球は情報統制が敷かれているためエイリアンの存在は知らされておらず、主人公たちはいきなり地球では想像もつかないような装備を渡され「宇宙には悪いエイリアンが沢山いて人類を狙っているので、みんなを守るために戦って下さい」と言われるという何いってんだこいつ的展開を、面白く読ませる作者の手腕には驚かされた。
もちろん延々とドンパチやっているだけではない。それぞれの巻には「夫婦」「親子」「家族」という裏のテーマがあり、ハートフルしている。個人的にはむしろこの部分が好きだ。主人公が非常に良いキャラクターをしているということも大きいのだろうが、純粋に心温まる。なんというのだろうか、見ていて羨ましい。
不満があるとすれば、ウィットに飛んだ会話を見せてくれるその素敵な主人公が、二巻では主人公ではないと言うことか。同時に、二巻の主人公は全く老人ではない。世界観が共通なので構わないのだが、多分「老人と宇宙じゃねーじゃん!」と思うだろう。
ただ、本シリーズはたくさんの賞をもらったそうで(調べていないので詳細は不明)、それに見合うだけの面白さがあることは間違いない。どんな人にでもおすすめ出来る作品。
(條電)