名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

新歓読書会の案内

それと、4/22(水)は全学教育棟S21教室にて16:30より新歓読書会というイベントを行います。
「読書会」というのは普段部の活動として行っているものの一つで、簡単に言うと、みんなで題材となっている作品を読んできた上で意見や感想を言い合って、作品に対する「読み」を深めていくという感じですかね。
説明するより実際参加してもらった方がわかりやすい、ということで新入生のみなさんと一緒にその読書会をやりたいと思います。
所要時間は、話の盛り上がりなどによっても変わってきますが大体一時間から一時間半くらいです。
詳細については説明会の時にまたご連絡します。ですので、この読書会に興味があるという方もぜひ説明会に参加して欲しいと思います。
今のところ、ハヤカワ文庫の『SFマガジン700【海外編】』に収録されている、テッド・チャンの「息吹」という作品で読書会を行う予定です。

本自体はこちらで用意するので、こちらもお気軽にご参加くださればと思います。

2015年度サークル説明会日程のご案内

新入生の皆様、ご入学おめでとうございます。
2015年度サークル説明会の日程が決定しましたのでご案内します。

日付 時間 場所
4/10(金) 16:30〜20:00 全学教育棟S11教室
4/13(月) 18:15〜20:00 全学教育棟S30教室
4/17(金) 18:15〜20:00 全学教育棟S16教室
4/24(金) 18:15〜20:00 全学教育棟C10教室

20:00というのはあくまで目安なので、その時間までこちらが教室にいるかどうかはわかりませんが、説明会はだいたい上記の時間帯で行っています。
興味のある方はぜひ自分の都合のつく時間にいらしてくだされば、と思います。
読書が好き、読書に興味があるという方ならどなたでも歓迎します。それがSFでなくとも、小説でなくとも。
また、部室見学も随時受け付けておりますので、説明会への参加の都合がつかない、部室を直接見てみたい、という方はお気軽にご連絡ください。
連絡先までメールを送ってくだされば、希望の日時に個別で対応いたします。質問等もありましたらお気軽にお送りください。
部室の場所は北部の学生会館横の第一サークル棟というところです。

「SF研」という名前からして敷居が高そうと思われることも多いですが、言ってしまえばただの読書サークルですので、肩肘張らずに気楽に来てくださればと思います。
SF研がどんなサークルかについては、数年前のものになりますがわかりやすいまとめがあるのでこちらをご覧ください。

新刊書評誌BIT

去年11月より出版された小説のレビューを数本載せたBIT という物を今月から刊行しています。B5両面刷りの無料誌で、毎月刊行予定です。名古屋大学南部書籍と北部フロンテに置かせてもらっています。全学の掲示板にも置く予定です。出来れば学外の本屋さんとかにも置かせてもらいたいな、と思っています。

今月の掲載レビューは『神さまがぼやく夜』『完璧な夏の日』『殺人鬼ジョー』『重力が衰える時』の4作についてとなっております。

無料なので気楽に手にとって頂けるとありがたいです。

(烏猪)

性淘汰創作短編会

3月31日に創作短編会を行ったので、今更ながら記事を書きます。

参加者は三人でした。まぁいつもの参加者です。今回はテーマを一つ決めて、それに沿って短編を書きました。テーマはズバリ「性淘汰」! なかなか難しいテーマですね。簡単な例を挙げると、綺麗な羽をもったオスのクジャクがメスを惹きつける、と言ったものです。このテーマ大雑把には理解できるのですが、細かい所が掴みづらく、書きながらこれはちゃんとした意味の性淘汰なのか? と悩んだりしました。一方で生物学の専門用語という大変SF度の高いテーマであったな、と思います。

創作された三作品の簡単な紹介をします。
異星での性淘汰を日記調で描いたホラーSF、体の一部が虫となった人間達の社会における文化的背景を内包した性淘汰を描いたSF、Omnia vincit Amor なSF。こんな感じですかね。色々な性淘汰が描写されていました。分かりづらかったからこそ、逆に深く考えられたという所です。

今回の作品達もこの前の様に会報と言う形でまとめて発表する予定です。遅くて文学フリマには完成すると思います。できれば夏コミ……。

それでは次回予告を。次の短編創作会のテーマは「工場」「窓」です。二つのテーマを組み合わせたり、あるいはどちらかを選んだりして短編を書いてください。開催日は五月の下旬あたりにしようかなと考えています。新入生の方のご参加お待ちしております。また私達は一応インカレサークルなので学外の方や大学生以外の方も大歓迎です。興味がある方は部室に来て下さるか、連絡してくださると嬉しいです。


(詠)

名古屋コミティア参加&会誌「創作実験号」完成のお知らせ

4/5(日)に名古屋国際会議場で行われる名古屋コミティアに参加します。
(名古屋コミティア公式HP→http://nagoya-comitia.daa.jp/
当日の場所は A-34。
新刊二種と過去会報(PIT vol.12)を持っていく予定です。
ぜひお越しください。

新刊詳細

新刊として「創作実験号 クリスマス編(2013.12)」と「創作実験号 2014年編(2014.6→2014.12)」が完成しました。
「創作実験号」はどちらも名大SF研内で開催された創作短編会に寄せられた創作短編小説をまとめたものになります。

※創作短編会の詳細についてはこちらの記事 http://d.hatena.ne.jp/MSF/20141227/1419670609 を参照してください。

  • 「創作実験号 クリスマス編(2013.12)」

  内容:2013年12月の創作短編会に寄せられた、クリスマスを題材とする短編6つを収録。
  頒布価格:300円

  • 「創作実験号 2014年編(2014.6→2014.12)」

  内容:2014年6月から2014年12月までの創作短編会に寄せられた短編計10本を収録。
  頒布価格:300円

部員にとっては慣れない創作活動でしたが、掲載作品はどれも発想に富んだ面白いものばかり。
名古屋コミティア会場でお手に取っていただければ幸いです。

追記

名古屋コミティア前日と非常に遅くなってしまいましたが、掲載作品のあらすじを紹介します。

  • 「創作実験号 クリスマス編(2013.12)」

1『26日のクリスマス』
目覚めると枕元に置かれていたフリスビー。彼は「26日のクリスマスプレゼント」の噂を思い出す。
2『正義の山田くん』
正義の味方に憧れる従弟の山田くん。クリスマスの2日前、私と彼はいじめられている男の子に出会う……。
3『クリスマスプレゼント』
クリスマス、それは一番大切な人を幸せにする日。一途な男は、運命的な出会いをした少女のためにサンタクロースになる。
4『私はサンタ』
サンタ男は激怒した。彼のささやかな趣味を邪魔する者は、誰であろうと許さない。
5『ダイヤモンドのギター』
「ふえ〜どいてください」パーティからの帰り道、ギターを背負ったぼくの頭上に女の子が降ってきた!? 
6『サンタ狩り』
恋人とのデートの代わりに上司とサンタ狩り。クリスマスイヴだっていうのに、なんでぼくは無害なナイトウォーカーを捕まえなくちゃいけないんだ?


  • 「創作実験号 2014年編(2014.6→2014.12)」

テーマ『城/都市/密室』
1『城』
「その町の住人は必ず一つ、自分の城を持つ」 隔離病棟で男は語りだす。自らの生まれ故郷のことを。
2『イニとチイのラブ♥探検』
幼馴染のイニとチイはとっても仲良し。今日も二匹は森の中を探検します。


テーマ『大きな揺れを感じた』
1『月への旅』
それは男が見た奇妙な夢のお話。
2『鼓動』
放埓な主人に振り回される携帯型医療ロボットの日常。
3『58』
賽は投げられた。たとえ男が彼女を捨てようとしても、運命の決定権は私にある。
4『アスパラガス』
他人の感情の動きを知覚できる女の子の、昼休みの一幕。


テーマ『図書館/不死/屋根裏』
1『本の向こうの奥高く』
行き当たるものを全てのみ込む図書館。取りこまれた人々の中に一人、読書に飢えた青年がいた。ある古い本を見つけたことをきっかけに、彼は図書館の秘密に迫っていく。
2『In the Library』
図書館内部に広がる、死も痛みもない不思議な空間。その中をさまよい歩いていた俺は、進むべき道を示す一冊の本を見つける。
3『GIFT』
とある屋敷の屋根裏に居候することになった彼は、気づくと生きた図書館の戦いに巻き込まれていた!
4『屋根裏の君』
古から秘術を伝える一族、その次期当主たる少年は悩みを抱えていた。肩にのしかかる一族の運命と、すべてを投げ出してしまいたいという儚い思い。彼の心を縛るのは、許嫁の幼馴染、そしていと美しき屋根裏の君。

SFインターメディアフェスティバル2015

3月7日に名古屋の栄にあるspazio ritaでSFインターメディアフェスティバル2015が開催されたのでそれについてのレポートを書いていこうと思います。
SFコミュニケーション研究会主催で初めて行われた本イベントのテーマは「ロボットの昼とプログレの夜」です。その名の通り、昼の部は「ロボットとSFについて」、夜の部は「プログレッシブロックとSFについて」という二つの違ったテーマに関して深いトークやライブが行われました。


・昼の部1「ロボット製作にまつわるお話」
 昼の部の一発目は「GAZEROID」という柏木由紀似の「ゆきりんロボット」を製作したことで有名な藤堂高行さんによる開発秘話。そのゆきりんロボットも会場に来ていました。
 「GAZEROID」は目を合わせると首をかしげながらも視線を合わせてくることが特徴の人型ロボットです。その従来のロボットにはない視線追尾の特徴は、理想の彼女をつくりたいと考えた藤堂さんの「恋をすること=見つめ合うこと」という哲学から生まれた、との話はたいへん面白かったです。他にも今後は「まぶたの追従」や体全体の動きをつけて人間に近づけていきたい、という話やAKBの公式イベントでご本人との共演を果たした時の事など、非常に興味深いお話をしていただきました。
 また会場に展示された「ゆきりんロボット」と実際に目を合わせる体験ができました。私も目を合わせてみたのですが、見つめられると驚きとともに温かさを感じました。

・昼の部2「ロボット映画にみるアイデンティティ
 昼の部二発目のパネラーはSFコミュニケーション研究会代表の川本真弓さん。映画「クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」から「不気味の谷現象」について考えるお話をしてくださいました。「不気味の谷」とはロボットが人間に近づく上である一定のラインを超えると突如として不気味になる現象の事で、ロボットに関して切り離すことのできない問題の1つでもあります。この映画ではしんのすけの父親であるひろしがロボットになるのですが、それに対するしんのすけの反応と妻のみさえの反応の違いから、「不気味の谷」は人によって、時間経過によって反応の差があり、それがこの現象を定義化することが出来ない原因の一つという事でした。

・昼の部3「ボーカロイドについて」
 パネラーは椙山女学園大学教授であり米文学、SF研究家でもある長澤唯史さん。ボーカロイド初音ミクについての歴史や背景、今後の展開等についてのお話をしていただきました。
 今後ボーカロイドは人間の声に近づけるのか、人間には出せない声をだしていくのかという2つの方向性にかんする話や、ボーカロイドは作品の質の競争、自己表現の舞台ではなくあるコミュニティ上に立つゲームなのではないか、幅広くコピーされることを前提とした共有財産的作品群なのではないかという話、またボーカロイド初音ミクは別のものではないのかという考えから、この二つは背景となる文化が違っており、それぞれの立場、コミュニティによる対話が必要ではないのかという考えなど大変ためになる講演でした。
 個人的にはジュール・ヴェルヌの「カルパチアの城」という小説が初音ミクのひいてはアイドルオタクの元型であるのかもしれないという説が好きでした。

・昼の部4「出演者による対談と客席との交流」
 昼の部に出演していただいた三人のパネラーによるそれぞれの分野を超えた対談でした。ロボットを人間に近づけるということはロボットに個性を与えることであり、それに対しての「ゆきりんロボット」と「ボーカロイド」の違いというのが印象深かったです。

・夜の部1「宮崎尚アコースティックライブ」
 ロボットから打って変わってプログレッシブロックをテーマとした夜の部の一発目は日本を代表するレッド・ツェッペリンコピーバンド「Cinnamon」の初代ヴォーカルである宮崎尚さんと中村克宏さんのギター及びマンドリンによるツェッペリンの曲のライブでした。プログレッシブロックというのは70年代を中心に盛んだったロックの分野で、レッド・ツェッペリンというのは世界的に有名なロックバンドの事で一部の曲がプログレとされます。
 いやー、宮崎さんの声は素晴らしかったです。レコードを用いた宮崎さんの軽快なトークや中村さんの語るような弾きも楽しめました。私はツェッペリンのベストアルバムぐらいしか聴いてはいないのですが、名曲「天国への階段」のときは感動しましたね。

・夜の部2「プログレとSFを巡るあれこれ」
 ・夜の部二発目は本会OB、名古屋大学SF研究会創設者であり現役高校教師の渡辺英樹さんと大阪大学教授でありSFファンでもありニセ科学ハンターでもありテルミン奏者でもある菊池誠さんによるプログレ談義。
 ツェッペリンキング・クリムゾン、イエスピンク・フロイドジェネシス、ザッパ、ELPなどのバンドについてや、プログレと言えばジャケット絵というところから多くのバンドのジャケットを担当したヒュプノシスについて、先進的な楽器や独創的なライブ、ミュージックビデオの話、曲としての素晴らしさ、高円寺百景上原ひろみなどの今の日本人のミュージシャンの話など非常に密度が濃く深いトークが繰り広げられ、大変ためになる時間でした。
 またプログレの日常の中に侵入してくる異物や誇大妄想的な作風、様々な要素を脈絡もなく付加させ巨大化させる、理性とパトスのせめぎ合いという点がSFとの共通点であるという事でした。

・夜の部3Andmo`ライブ
本イベントの締めを飾るのはテルミン奏者である児島佐織さんと菊池さんによるロック・バンドAndmo`のライブでした。テルミンというのは20世紀初めにロシア人が発明した電子楽器のことで、音色も演奏法も特殊です。
 児島さんによるテルミンのにょわんにょわんした神秘的な音と菊池さんのギターが混じ合わさり、直接脳に響いてくるライブでした。最後は宮崎さんを加え、ツェッペリンを演奏するという嬉しい展開で終わりました。


 SFインターメディアフェスティバル2015は昼はロボットとSF、夜はプログレとSF、とジャンルを超えたイベントで、話を聞くだけではなく、最先端技術に触れたり、音楽を聴いたりと色々体験をすることが出来るイベントでした。来年以降もぜひ続けていただきたいです。またその際には我々名大SF研も積極的に力になれたら嬉しいなと思います。

(詠) キング・クリムゾンの「Red」を聞きながら

フィンランド式残酷ショッピングツアー

やった期待通り70分無駄にできたゾ!

ロシア人の母と息子は文化的で安全なフィンランドへ観光バスツアーにいっていた。買ってもらったスマホでそこら中を撮影するクソガキははしゃぎまくり、ノイローゼ気味の母親はそれに対してヒステリーをおこす。そんな中、バスはショッピングセンターに着き、ツアー客は貸し切りでショッピングをすることとなった。だが突如フィンランド人が襲ってくるのだった。命からがら逃げだした二人は助けを求めるが再び襲われてしまう。それもそのはず、フィンランド人は夏至祭前になると外国人を食べるのであった!四面楚歌の状況に置かれた親子は生き延びる事ができるのだろうか?

いやー、ひどかったタノシカッタ。
本作は少年のスマホで撮られた動画という体のPOV方式で作られた70分の食人系ホラーです。
あらすじの通り、温厚で教養深く素敵なはずのフィンランド人が野蛮なロシア人をムシャムシャしちゃうC級映画なんです。フィンランド人が襲い掛かってくるまでが長いとか、延々と母とクソガキの親子喧嘩を見せられるとか、スマホの充電持ちすぎじゃね?とか、母親が襲われているのにカメラ回し続ける息子はカメラマンの鑑とか、これホントに70分なの?とか文句言うのは野暮な事です。そんな事、タイトル見ればわかるではないか。

よかった?所を挙げていきましょう! 
フライパンでフィンランド人をボコボコにするシーンは感動しました。クソガキが元カノに電話をかけるシーンがあるんですが、その女の子のセリフがとても春樹っぽかったのも印象に残っています。また延々と親子の映像を見せられる中で、意外と思春期の息子と母親の関係の描写が上手いのではないか、父を亡くし傷ついた親子の再生劇としては良いのではないかと錯乱し思いました。後、ラストのシーンの何故カメラが引いていくのかについて深く考えれば、立派なCULT映画として見られるかもしれません。

70分という気軽に手に取れる長さの映画なので、もし超絶に暇であれば、一度ご覧になってはいかがでしょうか? 

(詠)