名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

TWO突風!1〜8(藤井良樹、旭凛太郎)

Two突風! 1 (少年チャンピオン・コミックス)

Two突風! 1 (少年チャンピオン・コミックス)

さてこの漫画をどう紹介するかというと、

「うん……なんかストリート系?不良バトル漫画なんだけど、主人公コンビが結構外道」
「そんで巻が進むごとにキャラに変な二つ名がつくようになるの。『関東平野の悪い夢』とか」
「キャラ名そのものも結構珍妙に」
「それと暴走族で『マシンガン』っていうのが出てくるんだけど、魔神に銃って書く」
「ちなみにこの漫画自体はツートップと読む」

というのが僕の結構使用う方法であり、もちろん何一つ間違ったことを言っていない。
ではこの漫画はただ「主人公の戦法が外道な不良漫画」なのだろうか。「珍妙な名前とあだ名とサブタイを楽しむだけの漫画」なのか。「キレキレな台詞回しを読んで喜ぶだけの漫画」か。
違う。『TWO突風!』は恐らくその展開において「きっちり少年漫画している漫画」、である。たとえ主人公の戦法が卑怯で外道でカッコ良くても、だ。


「努力・友情・勝利」というテンプレートが昔の雑誌にはあったようだが、それはもちろん少年漫画的に見て理に適っている。壁にぶつかったときにはそれを打破し、勝利しなければならない。そしてそれを打破する鍵を努力や友情に求めているというだけである。問題があるならば、別にその鍵が努力や友情でなくてもいいことだ。ここでテンプレートをさらに一般化するのなら「成長・勝利」だろう。つまるところ、主人公はなにかしらの成長を求められるのだし。最初から強いキャラクターが何も考えずにえんえんと敵をボコるだけの話には今ひとつ魅力がない。チートコード全開でCOM相手に俺tsueeeee!!やるようなものである。
話がズレたが、『TWO突風!』の大きく3つに分かれる展開のそれぞれを見比べた際、主人公二人の成長したさまをはっきり理解できるということだ。先ほどのテンプレートと照らしてみると、この漫画の場合努力はあまりないかもしれない。友情はある、多分。勝利……勝利はなあ……

「これは戦争じゃねえ 喧嘩だ!俺ら二人どれだけ手負いでも喧嘩なら負けねえ!!」
「そっかあ?結構負けてんぜえ」
「だったら今から死んでも負けねえ!!」
「おうッ この次負けても今夜は絶対負けねえ!!」(第69話より)

『TWO突風!』とは、つまりそういうお話です。(片桐)

Two突風! 8 (少年チャンピオン・コミックス)

Two突風! 8 (少年チャンピオン・コミックス)