- 作者: トマス・M.ディッシュ,深町真理子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1976
- メディア: 文庫
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なんといっても邦題がよろしい。ふつう『人類皆殺し』とか言われたら「あー侵略ものSFね、なるほど」ってなるはず。その場合想像するのはトライポッドとかUFOとか第五の力とかであって、決して地味な植物などではないよね。でも、この本ではそういうけたたましい侵略方法が取られず(実際は二回ほど謎機械が出てくるけど)、ただ単に植物がどんどん広がってくだけ。人類は抵抗の意思すらそれに伝えることができず圧殺されていく。
つまり、コミュニケーションの不可能な相手というのが一番厄介なのである。拳で殴りあえば、強敵と書いてともと読むような存在になれるのかもしれない。頭脳階級の虫を巣から引っ張り出せば、虫の思考も分かるかもしれない(怖がっています!)。だけど意思伝達のできない相手にはそういった方法が取れない。燃やしても食っても抜本的な解決にはなりえないのだし。
ちなみに伏線の張り方が今まで読んだ本のなかでトップクラス。(片桐)