名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

サイレントヒル2

サイレントヒル2

サイレントヒル2

サイレントヒルシリーズで僕が一番好きな「サイレントヒル2」を紹介しようと思います。
主人公ジェイムス・サンダーランドの元に、3年前に死んだはずの妻メアリーから 「思い出のあの場所であなたを待っている・・・」という内容の手紙が届く。 ジェイムスはありえないと思いつつ、真実を求めてサイレントヒルをさまよう。
というストーリーで、邪魔する怪物たちを蹴散らしてラストに妻に会い、ジェームズ「待っていてくれたんだね、メアリー・・・」なんていうエンディングで終わる不思議だけど感動的な話・・・・ではありません。そんな、ある意味「王道」みたいなストーリーだったら全然心に残りません。
本当の展開はこうです。邪魔する怪物たちを蹴散らし、思い出の場所であるホテルに着いたジェイムスは、メアリーと二人で泊まった312号室であるビデオを見る。そこには病気でベッドに横たわるメアリーと看病する自分の姿が。ビデオの中のジェイムスはメアリーの首を絞めていた・・・。そのときジェイムスは真実を思い出す。メアリーが死んだのは3年前なんかじゃない、最近まで生きていたんだ。そして、私が、メアリーを、絞め殺したんだ・・・・・。
というのが本当のストーリーなのです。メアリーの手紙なんてホントはなかったのです。すべてはジェイムスの妄想だったのです。ジェイムスはメアリーを殺しました。ジェイムスは罪悪感から自殺を決意します。そして死に場所を思い出の場所、サイレントヒルにしたのでした。しかし、サイレントヒルへと向かう途中、彼は現実逃避をしてしまいました。自分はメアリーを殺してなんかいない、メアリーは死んでいない、と。サイレントヒルという町は古くから不思議な力を持つ町でした(「サイレントヒル」を参照)。そしてサイレントヒルはジェイムスの妄想を実現させたのでした。では怪物は何でしょうか?それもジェイムスの妄想の産物なのです。ジェイムスは現実逃避をしましたが、心の奥底には罪悪感が深く根付いていました。自分は人殺しだ、誰かに裁かれなければならない。そんなジェイムスの心をサイレントヒルが反映させたのが怪物たちでした。
とまぁこれがサイレントヒル2のジェイムスとメアリーについての話でした。他の登場人物(特にローラとマリアとレッドピラミッドシングは重要キャラ)との絡みも紹介したかったのですが僕の頭ではここまでが限界みたいです。ちなみにストーリーはホテルの後も続きますし、分岐もします(全6種類)。全部紹介するのも難しいし、それだとネタバレになってしまうので(今までのも相当なネタバレだけど・・・)、エンディングの一つ、「In Water」を紹介します。
自分がメアリーを殺したと思い出したジェイムスは、当初の目的だった自殺を決行する。サイレントヒルの中心にあるトルーカ湖へ向かう車の中で彼は呟く、「メアリー、これで一緒にいられる・・・」と。そして車は湖へと落ちていく。
ここまで書いててあれなんですけど、このゲームは何の先入観も持たずにプレイして欲しいです。そしてラストでびっくりして欲しいです。ゲーム中に漠然と感じていた不安がラストで衝撃に変わる、あの感覚を皆さんにも味わって欲しいです。ゲーム中に「あれっ?」と思うことがあったらそれを覚えておいてください。その疑問に対する解答がラストで明かされます。
このゲームの難易度もよく考えてあるなぁと僕は勝手に考えてしまいます。サイレントヒル2は、敵=主人公の罪悪感という構図です。サイレントヒル2の敵は滅茶苦茶ヘボいです。難易度マックスにしてもヘボいです。つまりこれは主人公の心の弱さをあらわしているのでは・・・と考えてしまいます。
サイレントヒル2のサイレントヒルシリーズ内での特異性はストーリーだけではありません。エンディングも変わっています。通常、サイレントヒルでは普通のエンディングのほかに、ストーリーぶち壊しの「UFOエンド」と呼ばれる隠しエンディングがありますが、サイレントヒル2にははじめ、このUFOエンドがありませんでした。代わりに、すべて犬の仕業でした、というオチの「いぬエンド」と呼ばれる意味不明のゲーム画面をぶち壊したくなるような可愛いエンディングがありました。「サイレントヒル2」発売約5カ月後にマリア編などを追加した「サイレントヒル2最期の詩」が発売され、この「最期の詩」で初めてUFOエンドが出ました。このことからもコナミスタッフの、サイレントヒル2のシナリオを大切にする心がわかりますよね。
なんだかいろいろ書きすぎてしまいました。きっと寝てないせいですね。そうだ、そうに決まってる。ということで寝ます。(ワタナベ)