名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

STEEL BALL RUN vol.20(荒木 飛呂彦)

STEEL BALL RUN vol.20―ジョジョの奇妙な冒険Part7 (20) (ジャンプコミックス)

STEEL BALL RUN vol.20―ジョジョの奇妙な冒険Part7 (20) (ジャンプコミックス)

 ジョジョシリーズ通算100巻目。記念すべき巻のはずなのに作者コメントでは「家の中に『ツケマツ毛』が落ちてて怖いんですけど・・・。」と書いている。通算100巻目なのにそのことに触れずにツケマツ毛の話題。さすが荒木飛呂彦だ。
 全巻の最後あたりからやけに意味ありげに出ていた「クマに注意」の看板が特に意味がなかったことは逆に衝撃的だった。ずっとそうだが大統領の使い捨て感が相当ヤバイ。今巻でD4Cが隣の世界の大統領に乗り移ってその大統領が『基本』の大統領になったことで、D4Cの方が本体のような気がしないでもない。D4Cが本体ならばあの使い捨てっぷりも納得できる。この人ジョジョシリーズで二番目に死んだ回数が多い人に違いない。大ゴマで「理解したぞッ!!」といった次の話でいきなり「理解が間違っていた」と言ったりとこの人はネタキャラすぎる。「どジャアァぁぁぁ〜ン」はなんだろう気に入っているのか?D4Cは能力が多すぎてヤバイ。「隣の世界に行ける」能力のはずが知らない間に「鏡を隣の世界に繋げる」能力が追加されてる。しかも「『吉良』を引き寄せ『害悪なる』ものを遠ざける」、「スキ間の中に入れる」能力まで遺体の力で手に入れてしまって、GER並に意味のわからない能力になってる。『吉良』は明らかに作者が狙っているとしか思えない。「きちりょう」と読むがこれまでジョジョを読んでる人なら間違いなく手首フェチの殺人鬼の名前だと思うはず。SBRはこれに限らずこれまでのシリーズを思い起こさせるようなものが多く出てきているので、総まとめのような印象を受ける。展開的にもうすぐ完結しそうな感じがあるが、どうやってD4Cを倒すのか思いつかない。このスタンドチートさの前では「新しい回転」で勝てるとは思えない。それにポコロコとかヒガシカタが忘れられてるような気がしないでもない。
 SBRはGERとかメイド・イン・ヘブンもよくわからん感じだが、それに輪をかけてより分からん。これを完全に理解できるようになる日は来るのだろうか。