- 作者: ナンシークレス,Nancy Kress,金子司
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/03/31
- メディア: 文庫
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表題作となる中編はしかし、良かった。いわゆる「新人類もの」である。遺伝子改変によって生まれた眠らない人類「無眠人」と、普通の人「有眠人」とのお話。眠らないと言うことは、その時間を別の何かに有効活用出来る。その時間何をしているのかといえば、勉強しているのだ。何故か無眠人は体力に満ち溢れているらしい。受験生にとってはひどく羨ましい話に違いない。誰か一人くらい、勉強も仕事もしないで24時間ずっとネトゲををしている人がいても良いような気がする。いや、あるいは書かれてないだけで存在はしているのかもしれないが。どの道、話にならないだろうな。
「超能力が使える」というわけではなく、「眠らない」という微妙な新人類っぷりによる、普通の人間との確執を描く。両者は当然一つの世界で共に暮らせるはずなのに、案の定とでも言うべきか、有眠人は高い能力を持った無眠人を嫉妬し、対して無眠人は自分の身を守ろうとする。共存か、戦争か。そんな感じの話である。身も蓋もない言い方になってしまったが、面白いから大丈夫。
関係ない話だが、どうもSFの「新人類もの」だの「方程式もの」だの「終末もの」だのと言ったカテゴライズが好きになれない。いや、カテゴライズという言葉はあまり適切ではないし、それがSFを語る際に便利なことこの上ないのは確かなのだが、どうにもむず痒さを感じる。なんか閉鎖的な臭いがするのだよねぇ。
あ、他の短編はそんなに面白くなかったです。(條電)