名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

「冷たい密室と博士たち」「詩的私的ジャック」(森博嗣)

冷たい密室と博士たち (講談社文庫)

冷たい密室と博士たち (講談社文庫)

詩的私的ジャック (講談社文庫)

詩的私的ジャック (講談社文庫)

名大生なら読んでおきたい作家。よく知らんのだが、もともとここの助教授だったそうだ。この二冊はS&Mシリーズと呼ばれているものの内の一部だが、主人公格の二人もN大学の助教授と学生ということになっている。詩的私的ジャックについては舞台も完全にN大学。といっても、あえてなのか、時代の違いなのか、現実の名大とは微妙に異なっているのだが。
で、内容についてだが、そのままミステリィな感じだった。ジャンルがミステリなので当然ちゃ当然だが、なんというか、正統派という印象。端的に言えば、つまらなかった。状況があって、事件があって、事実があって、結末があって、それだけである。
世間一般では「理系ミステリ」と呼ばれているらしい森のミステリだが、別にそんなに科学的な専門知識が登場するわけでもない。そんなものが登場してしまったら一気に敷居が上がってしまうので、当たり前と言ったらそうであるが。では何が理系なのかというと、ただ探偵役が純理系な人間というだけである。この探偵役と相棒役の二人もまたクセモノで、キャラに魅力が感じられない。いかにも「小説の登場人物」といった雰囲気をまとっているのだ。
ディズっても仕方が無いのでこれくらいで切り上げる。しかし、一般にもっとも面白いとされる「全てがFになる」も一応読んでおきたいとは思った。まだ逆転もあるかもしれない。この作者の第一作目は、偶然手元になかったのである。部室にあっただろうか?
(條電)