名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

探偵ガリレオ(東野圭吾)

部室に行ったら、『平成ガメラ』が上映されてた。90分くらいなのは魅力的だなあと内容に関係のない感想を持ったのであった。プリングルスは美味しいです。

探偵ガリレオ (文春文庫)

探偵ガリレオ (文春文庫)


だれも覚えていないであろう、部室にある東野圭吾をなんとなく読んでみるシリーズ第6回目です。
今回は『探偵ガリレオ』。といっても半年以上前に読んだ本なのだが。
それでもレビューを書く。そうしないと前の記事が下に行かないからであるorz


ドラマ化もした『探偵ガリレオ』であるが別に湯川博士は「面白い。実に面白い」なんて言わない。ドラマ版はそれしか知らないけどなんか読んだら裏切られた気分になった。凄くどうでも良いことだけど。


刑事の草薙と物理学者の湯川が繰り広げる本作は全部で5つの短編集。
その中で気に入った2つを紹介。


「第二章・転写る(うつる)」

草薙は中学生の姪の文化祭に出席するが、そこで奇妙なものを見る。「変なもの博物館」と称された陳列品の中に石膏で固めたデスマスクがあり、草薙は胸騒ぎを覚える。そして、血相を変えこのマスクを見る女性がいた。聞くと、この夏に行方不明になった女性の兄に酷似しているというのだ。デスマスクを作ったのは、この学校に通う生徒。二人は偶然、自然公園にある池でアルミ製のマスクを拾い、デスマスクを作ることを思いついたのであった。

そしてほどなく、この池からマスクの顔の主である男性の他殺体が発見された。しかし、なぜ現場にマスクがあったのか、どのように生成されたのかは手がかりがつかめなかった。そこで草薙は人体発火事件を解明した友人の物理学者・湯川を訪ねる。湯川は実際に池を訪れ、ある自然現象によってマスクが作られたと考える。一方、事件の方は、容疑者らしい人物をリストアップするも、その人物には被害者が失踪した日に海外へ旅行に出かけているというアリバイがあった。

話は上の通りだけれども結末が個人的に素敵だった。
偶然って凄いねっていう感じなんだけれども、科学的に解決していく中で最後に非科学的なことを出してきている。
最後に小説っぽさが少し出てきて読後感が良かった。


「第四章・爆ぜる(はぜる)」

三鷹のアパートにて、男性が撲殺されているのが発見された。この部屋から帝都大理工学部脇にある駐車場の写真が見つかり、捜査に当たっていた草薙はその足で第十三研究室を訪ねる。そこで湯川は、一週間前に湘南海岸で突然火柱が上がり、泳いでいた女性が爆死した事件について学生と議論を交わしていた。これは管轄の神奈川県警でも原因を特定できず、捜査は難航していた。

一方、草薙は殺害された男性が8月30日に大学を訪れ、教授の車を尋ねていたことを聞く。また、被害者は1ヶ月前に勤めていた会社を突然辞めていたが、大学の人物からは有力な情報を得ることができずにいた。捜査が暗礁に乗り上げようとしていたとき、草薙は被害者の部屋から海岸近くにある喫茶店のレシートを発見する。それは女性の爆死事件当日のものだった。そして、この女性の経歴を調べるうち、2つの事件につながりがあると考える。また、湯川も海岸を訪れ、爆発の正体を突き止めようとする。しかし、事件はまだ終わっておらず、さらにもう一人の命が狙われようとしていた。

…これって、高校化学Iをやっていれば誰でも分かる簡単なトリック。
それでも、この話の雰囲気は好き。
今回はあんまり湯川は草薙に手を貸していないような印象を受ける。(実際貸してないけど)
そこが他の作品とは違い惹かれる理由だと思われる。
研究と世間とかそういう風刺的なことを入れていて、ちょっとは考えさせられるかな。といった話なのでした。


相変わらず読みやすい東野圭吾
探偵ガリレオシリーズは短編集だからさくさく読めます。
でも軽い感じすぎて東野圭吾っぽくないといえばぽくない。
湯川が良い感じで東野圭吾っぽさがでているのが救いですが。


(あずま)