名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

『シップブレイカー』(パオロ・バチガルピ)

シップブレイカー (ハヤカワ文庫SF)

シップブレイカー (ハヤカワ文庫SF)

昨年の『ねじまき少女』、『第六ポンプ』でSF界の話題となった作者の新刊が、買ったのに読んでなかったので読んで感想を。
物語の舞台は化石燃料が枯渇した世界。もうこれだけでSFアンテナがビビッとくるわけですよ。で、シップブレイカーこと解体作業員という金属集めをして日銭を稼いでいる主人公がボーイミーツガールするお話です。読み終わった後に知りましたが、これ、ヤングアダルト向けなのね。もし先にヤングアダルト向けって知って読んでると、「いつ冒険は始まるんだ?なぁ!?」ってなってたと思うので読んだ後でよかった。最後の最後までは過酷すぎてヒィヒィいってる世界ですが、ラストは素晴らしい。ねじまきの上巻に比べたらはるかに読みやすかったです。
この作者は化石燃料というエネルギーコスパが良い資源が失われたときに、人類はどのような状況になるのか。警告を発している。こういった産業や科学の発達の先に待つ危うさを題材に書かれた作品というのは、読んで楽しいとともに色々と考える機会を与えてくれるので読んでみてはいかが?
(えふ)