名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

地球が大戦によって核の灰に汚染され、人類の大半がほかの惑星に移住した後の地球。火星から8人のアンドロイドが地球に逃亡してきたと連絡を受け、バウンティーハンターのリック・デッカードが処理(破壊)に向かうという話です。
この物語に出てくるアンドロイドは、肉体的にも人間そっくりで、知性も感情もあり傍目には全く人間と区別がつきません。むしろアンドロイドの方が人間よりも優れているようにも見えます。しかしアンドロイドにはたった一つ欠点(人間と違うところ)があります。それは感情移入ができず、他者や動物に対する「優しさ」というものがないということです。
この物語にはとても人間的に思えるアンドロイドが出てきたり、そもそもそんな人間的なアンドロイドに破壊するバウンティーハンターは人間的なのかという疑問が出てきて、ますます人間とアンドロイドの境界は曖昧になっていきます。そこが面白く、また「人間とは何か、どうあるべきか」ということを考えさせられる点でした。
sf作品なのに始終人間のことを書いたとてもメッセージ性の多い作品でした。(鍋)