名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

『憂鬱なヴィランズ』(カミツキレイニー)

憂鬱なヴィランズ (ガガガ文庫)

憂鬱なヴィランズ (ガガガ文庫)

先月に読書会で用いた『こうして彼は屋上を燃やすことにした』と同作者の作品。読書会をすることで興味をもったので読むことに。
ジャンルとしてはSFではなく、ファンタジー。誰でも知っている御伽噺の悪役(=ヴィランズ)の能力を用いてわちゃわちゃする話。悪役ってのは「赤ずきん」のオオカミさんとか。
話の構成力は非常に上手い。悪役の能力や、どうしてその能力が付加されているのか、つまり悪役に対する解釈は読んでいて面白いと感じた。読み進むにつれその謎が紐解かれていくので、読むのがとまらなくなる。ただ、序盤は読むのがやや辛い。でも1作目の『こうして彼は屋上を燃やすことにした』よりはいい。1作目でも感じたが、序盤の日常・伏線パートが読みづらいけれど、話の構成は本当に面白い。もしかして序盤はあえてこう書いてるのか?と思うほど。
1作目よりは今回の方が面白いので、ヴィランズの続巻が12月に出るので期待。
(えふ)