名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

Xenosage

ゼノサーガ エピソード ? 力への意志

ゼノサーガ エピソード ? 力への意志

4000年後の未来を舞台に、宇宙の始まりから終わりまでを描いた一大叙事詩。名作RPGです。
20XX年、ケニアトゥルカナ湖。発掘作業をしていた男が遺跡に銀色のプレートをはめ込むと、湖中から建造物が現れ、空間に金色のプレート型をした物体が実体化した。
それから約4000年後。宇宙空間に漂う金色のプレート(前述のものとは別物)を巡洋艦ヴォークリンデが回収した。そしてその内部では、ヴェクター・インダストリー第一開発局、KOS−MOS開発計画統合オペレーションシステム開発室主任シオン・ウヅキが、対グノーシス用人型掃討兵器KOS−MOSの起動実験をエンセフェロン(仮想空間)で行っていた。そこにグノーシスの影が近づいてきていた…
はい。ちゃんとあらすじを書こうと思ったのですが、どこから書いていいか全くわからないですね。序盤から考えるとラストが超展開すぎるかと。三部作だからそれは仕方ないのですけど。
このゲームはEP1「力への意志」、EP2「善悪の彼岸」、EP3「ツァラトゥストラはかく語りき」の三部構成となっています。わかる方はすぐ気付くと思いますが、どれもニーチェの著作の題名からとってあります。副題からもわかるとおり、この作品は極めてSF的な要素に支配されていながらも、その根底に宗教観や哲学・心理学が脈々と織り込まれています。
「ウーヌス・ムンドゥス」、「アニマの器」、「グノーシス」、「ツァラトゥストラ」。物語に絡む用語のほんの一部を並べるだけで、わかる人にはわかる感じで見事に宗教・哲学・心理学的です。
毎度申し訳ないのですが、またこの作品がわかりにくい。私含めファンからすれば、この重厚かつ複雑極まりないストーリーや用語が何よりも魅力的なのですが、ライトユーザーの方々にとっては難解すぎてどうにもとっつきにくいようです。EP3で見られる「データベース」と称した精緻な用語集では、数百の用語を説明していますが、これを全部読むだけでも、多分1日以上かかります。それだけ世界観が練り上げられた作品なのです。設定大好き人間にはたまらない作風なのです。
これだけ言っても、受け入れられない人には無理なんでしょうけどね…
ビジュアル面ですが、3作通して非常に綺麗な背景や機械、表現を見せてくれます。ただ、登場人物に関しては…上から3、1、2といった感じですかね。なぜか2作目で著しい減退を見せてくれやがりました。ストーリー自体はしっかり順番に複雑さをまして面白くなるというのに…
それと、声優陣。豪華です。信じられないくらい人使ってます。私はこの作品でアルベド/ガイナン役の山寺宏一が好きになりましたね。もっとも、そのへんは人それぞれですが。「ちょっと、伊藤静平野綾もいないじゃないか!」だとか言われても困ります。仕様なので。
がちゃがちゃ書いてきましたが、つまるところ、この作品をするにあたっては「裏を読んでやろう」という精神が何よりも大事です。意味もなく前述のような言葉を使っているわけではありません。極めて密接に現実の事物と関わりのあるものなのです。探究心さえあれば、「Xenosaga」は一生ものの作品になりえると思います。
是非一度、プレイしてみてください。(坪田)