- 出版社/メーカー: パイオニアLDC
- 発売日: 2001/06/08
- メディア: DVD
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ワイアット・ファッキン・アープ!
はいトロイ・ダフィー監督の『処刑人』。これがどーゆーものかというと、正当防衛でロシアンマフィアを殺してしまった仲良しアイリッシュ兄弟が、牢屋の中で天啓を受けて悪人どもを皆殺しにしてまわるしょうもないB級映画です。
……と、それだけだったら普通にB級なんですけど、この映画は凡百のアレげな映画と一線を画しているわけです。なぜか。
二秒ぐらい考えたんですけど、洋式便器の新しい使い方がわかるからやっぱひとえにエキセントリックなFBI捜査官の存在によるものが大きいでしょう。犯行現場でクラシックを聴きつつ踊り狂ったり、平刑事にやたらベーグル買いに行かせたり、女装してみたり。彼が主人公たちへ共感していく過程も描写されますが、主人公たちの犯行シーンと彼の分析シーンを同じ画面中に写す演出など、結構暗示的ですね。
それから主人公たちが天啓を受けた理由として「罪なき市民たちの、犯罪への無関心」があります。*1犯罪に無関心でいることができなかった主人公たちは、その行為の中でいやおうなく市民たちの目を開かせていくわけで、市井の人々の彼らへの反応がエンディングロールと同時に流されるのにもなかなか考えさせられたりさせられなかったりしますね!
あと「いったいどこまでやれば……」「肝要なのはそこではなく、神への愛をどれだけ深く持つかだ」というやり取りがあって、『アストロシティ:コンフェッション』を思い出したり。アメコミなんですけど、人に誉めてもらうためにヒーローやってるんじゃねーんだよボケっていう話です。
アストロシティ:コンフェッション (JIVE AMERICAN COMICSシリーズ)
- 作者: Kurt Busiek,Brent E.Anderson,秋友克也
- 出版社/メーカー: ジャイブ
- 発売日: 2005/03/14
- メディア: コミック
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とゆーわけで酒喰らいつつゲラゲラ笑いながら観られるしょうもない映画なんですけど、大抵の映画は酒喰らいつつゲラゲラ笑って観られるのでそれはマイナスにはならないし、ヒーローという存在を考えるに当たって『処刑人』はしょうもないというよりむしろ素晴らしい映画なんじゃないかなーと思います。思いました。
(片桐)