- 作者: ハワード・フィリップス・ラヴクラフト,森瀬繚,宮崎陽介
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2009/11/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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二つ目
ラヴクラフトの代表作の一つである「クトゥルフの呼び声」の漫画化である。あらすじは大伯父が不可解な死を遂げた後主人公が遺品の整理をしている時に大伯父が研究していたクトゥルフについて知る。そして自分もそれを調べていくうちに宇宙の秘密を知ることになり、そして・・・という話である。
作者はどうやらこれが漫画家としてのデビュー作であり、クトゥルーの造形がいまいちであったり人物が少し変であったりなどと拙さが全体にわたって散見されるが、絵柄に関してはなかなかクトゥルー神話の世界観にあっていて悪くないのではないかと思う。しかしなぜこれをコミカライズしたのかは疑問が残る。明らかにこの話は地味で漫画にするにはかなり難のある作品だと思う。「ダゴン」やドラマ化もしている「インスマスを覆う影」など漫画映えしそうな題材はほかにあるのにこれにしたのは何か意図があるのだろうか。もしかしたらシリーズ化を狙っているのかもしれない。そうであれば非常に嬉しい限りである。
一話ごとにはさまっている森瀬繚氏によるコラムはなかなか興味深くこれだけでも買う価値があるのではないかと思う。正直に言うともしかしたら漫画よりもこっちのコラムのほうが価値があるんじゃないかとも思う。あとがきでニャル子さんなどに言及しているのは中々笑いを誘う。やっぱりニャル子さんは萌系クトゥルーものの中でもかなり異端な気がする。なんだかんだいってもラヴクラフトの作品の漫画化は珍しく、コラムも非常に興味深いのでクトゥルー神話好きであれば読む価値は十分にあるだろう。(toshi)