名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

 這いよれ!ニャル子さん3(逢空万太)

這いよれ! ニャル子さん 3 (GA文庫)

這いよれ! ニャル子さん 3 (GA文庫)

 分からない人を完全においてけぼりにしてしまっているネタ満載の這い寄る混沌ニャルラトホテプのニャル子と主人公の八坂真尋が繰り広げる萌え系クトゥルーハイテンション混沌ラヴ(クラフト)コメディ第三巻。クトゥルーネタは言うに及ばずジョジョ、戦隊モノ、ゲームなどのネタを今回も大量にちりばめている、そのためネタの幅が広すぎてぶっちゃけ半分くらいしか理解できない。
 今作ではイースの大いなる種族が出てくるのだが、その名前がイス香とイス動というのである。前者はニャル子やクー子のような安易な名前なのだろうが、後者は「黒い仏」の石動から取っているんじゃないかと思う。毎度のことであるが作者は無駄に伏線を張りすぎである。今作の最後で回収された伏線に至っては一巻か二巻で張られていたもので、何でこんなどうでもいい伏線を張っていたのかと問い詰めたくなる。宇宙児ポ法とか混沌心を「おとめごころ」と読ませるところや「どこかしら心惹かれる奇怪さと驚異のスティックバナナ」などはヒドイと言うしかない。もっとヒドイ箇所もたくさんあるが、多すぎてここに書き切ることが出来ない。というよりも、ヒドくない箇所が全くないと言っても過言じゃない。物語も佳境(?)に入った感じがするのでこのままいくと次かその次くらいで終わりそうである。前述のとおり色々な意味でヒドイ冒涜的な名状し難きラノベではあるが、なかなか楽しめるのでSAN値をごっそり持っていかれるだけで読む価値は十分にあると思う。
 本篇もひどいがあとがきもネタまみれでひどい。衝撃のファースト〆切とか神の味噌汁とかあとがきでも読者を置いてけぼりにするとは驚きである。俺たちにできないことを平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるぅ!! ちなみにニャル子によるとスティーブン・セガールの戦闘力は猟銃持った農家の4600倍以上らしい、さすがセガールだ。セガールなら「窓に!窓に!」な状況になっても逆に深き者たちを叩きのめしてしまうんだろうな。(toshi)