名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

ブレードランナー

ブレードランナー ファイナル・カット スペシャル・エディション (2枚組) [DVD]

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フィリップ・K・ディックアンドロイドは電気羊の夢を見るか?」の映画。ずいぶん前に原作を読んだけど、映画は僕の記憶の中の原作といろいろ違ってた気がする。
2019年、ロサンゼルス、強靭な肉体と高い知能を併せ持ち、外見からは人間と見分けが付かないアンドロイド「レプリカント」が6体、人間を殺して逃亡。レプリカント達を処理するため、警察組織に所属するレプリカント専門の賞金稼ぎ「ブレードランナー」であるデッカードは捜査を開始する・・・
ストーリーは「アンドロ羊」とだいたい同じだけど、映像になるとやっぱり読んでいた時のイメージとは違ってくるなぁ。ロサンゼルスが舞台なのに街並みがチャイナタウンっぽくてビックリした。監督によると香港がモチーフらしい。監督は香港に未来の姿を見たらしい、攻殻機動隊も劇中に中華街みたいな風景があった気がする、同じ考えからかなぁ。あと、都市に人が多かったのにも驚いた、しかもアジア系の人多め。ホントにロスか?と思ったし、原作の設定だと地球には人間があまりいなかった気がする。
小説のようにグダグダやる時間もないのか、話のテンポはとても軽快でした。デッカードの捜査の手際の良さがかっこよかったです。原作読んでる時はもっとダメな奴を想像していました。
個人的には登場人物が少なくなっていたのが残念だった。デッカードは独身になってたし、アンドロイド(レプリカント)の人間の理解者もいなかった。気持ちを変える装置(ムードオルガン)とかマーサー教(みんなで気持ちを共感するやつ)のシーンも見てみたかった。それに何と言っても、アンドロイド達の最終兵器(人間の頭を狂わせるやつ)が見たかった。映画ならやってくれると思ったのに・・・
監督の音声解説をちょっと見たけど原作の設定はあまり意識してないって言ってた。というより原作通りの設定は論理的ではないから嫌って言ってた。未来はすべてが論理的になるのか? 映画が作られた当時からいえば、現在は未来であり、でもその未来は論理的ではない。すべて論理的にする必要なんてないし、できないと思う。この世界はキップルにあふれているのです。
なんかいろいろ書いたけど別に映画版が嫌いってわけじゃないです。映画版も良かったです、映像が奇麗でした。(ワタナベ)