名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

TRIGUN Badlands Rumble

 トライガンが滾ってしまって仕方がないので、私も感想的なものを書かせてもらいます。結構前から映画化の告知があって(最終巻の帯には2009年公開予定って書いてあった)、楽しみにしていたのがようやく公開されました。
 端的にいえばこれぞまさしく「トライガン」という映画だった。アニメ初期な感じのノリで、ヴァッシュは人質になって縛られているし、ウルフウッドは干からびてるし、保険屋の2人はいつも通りのデコボココンビといった具合です。ストーリーは単純にして王道といった具合で、モブのガヤガヤ具合やドンパチに主眼が置かれてるようにも思えました。敵キャラのガスバックがかなりいい感じです。サイコロキャラメルを食べるデコピンばかりする髭の格好良いオッサンキャラで、生き様(タタキ)を汚されることを嫌う美学を持ったキャラです。美学を持ったキャラであることと最後の決闘シーンが相まって個人的にB.Dネオンを思い出させるキャラでした。トライガンといえばアホ銃器ですね。もちろん今回も登場します。ガスバックの武器はガトリング、カノン砲さらには電流発生装置(?)が一つになった手甲のような素敵武器です。どういう構造になっているかを気にしてはいけませんね。忘れていけないのがパニッシャーです。今回ももちろん素敵で、パニッシャーが展開するシーンは「ウヒョー」ていう感じでたまらないですね。個人的に最大の見所はヴァッシュVSウルフウッドのシーンでした。原作にはない二人の対戦シーンでそれが映像化されているんですから、ファンにはたまらないシーンです。それに人質になるヴァッシュだとか干からびるウルフウッド以外にも原作を彷彿とさせるシーンが多かったのは、嬉しかった。
 今回の映画のテーマとしては、ヴァッシュの信条である「ラブ&ピース」に対する一つの答えが提示されることです。ガスバックはヴァッシュの生き方を「他人のサイコロを振る行為」として評します。原作でも似たようなことを言われてましたが、ヴァッシュの生き方は「サイコロを振り続ける」生き方だと思う。どんな悪人であっても殺させないし、殺さない。見逃した悪人がまた何かをやろうとすれば、それを止めに行く。そんな風にイタチごっこを続ける生き方。今回提示される答えは「見逃した悪人のせいで失われる命はあるけれども、生まれる命もある」というものであり非常に陳腐だとも言えます。でも、こういう陳腐さがトライガンらしいとも思える。
 映画の終わりからアワーズで二カ月の短期連載していた話につながるので、映画を見た人はこちらも見ると良いでしょう。こちらは映画のようなテーマは無く、ヴァッシュが以前投げたサイコロをまた振り直しに行くだけです。こちらもかなりの銃弾数w。あとパニッシャーの素敵っぷりがヤバイ!(toshi)