クロスファイア

クロスファイア(上) (光文社文庫)

クロスファイア(下) (光文社文庫)

四人の若者が廃工場に瀕死の男を運び込んできた。その男を“始末”するために。目撃した青木淳子は、力―念力放火能力を放ち、三人の若者を炎上させる。しかし、残る一人の若者は逃走。淳子は、息絶えた男に誓う。「必ず、仇はとってあげるからね」一方、現場を訪れた石津ちか子刑事は、不可解な焼殺の手口から、ある事件を思い出していた!話題の超傑作、ついに登場。
内容（「BOOK」データベースより）

宮部みゆきのＳＦ長編。映画化もされている。念力放火能力を持った女性と、彼女が起こした事件の真相を追う女性刑事の二人の視点から物語が展開していく。女性刑事視点ではミステリーとして読めるため、ミステリーとして括るのも間違いではない。…分類がＳＦのみになるのがよほど嫌なんだな。
この作品に限らないが、この作者は女性の登場人物をハッピーエンドにする気がない。中年オヤジは簡単に幸せにするくせに。
「法の裁けない悪を正義の名に基づいて裁く」という結構ありきたりなテーマに基づいて行動する超能力者と、その考えを是としない女性刑事の対比が印象的。この二人の対比構造を見つけていく方が物語を読むよりも面白かったりする。
レビューが充実しているため、またもや書くことが無い。
この作品を初めて読んだのは中学生の時で、超能力にも制限があることを知ったり、「法の裁けない悪を正義の名に基づいて裁く」というテーマが明文化されている本を初めて読んだりと、設定の方が当時は印象的だった。(武)