名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

粘膜人間 (飴村 行)

粘膜人間 (角川ホラー文庫)

粘膜人間 (角川ホラー文庫)

 タイトルからしてすでにアレだが中身はもっと凄い。いきなり「雷太を殺そう」という兄による弟殺しの決意から始まるのである。また裏表紙のあらすじが面白い。「身長195cm体重105kgの小学生」である。この小学生が兄に命を狙われる雷太である。しかも三男だ。雷太は兄や父にもどうすることができない暴君であり、そのため兄たちは彼を殺そうとするのだ。だが兄たちでは勝ち目がない。ならどうするのか?河童に殺人依頼をするのである。時代設定は戦時中の日本というリアルな感じであるのにファンタジーである。たぶんこの作品はホラーミステリに属するのであろう。さらにこの作品の特徴としてはグロテスクな描写であろう。首を引き千切るなどの描写があるので、苦手な人は注意しなければならない。個人的な見どころは、拷問薬品「髑髏」によって見せられる幻想的なグロテスクな世界の描写だろう。この部分には非常に惹き付けられた。終わり方は正直どうかと思った。まるで打ちきり漫画のようなのであった。(toshi)