名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

「さくら荘のペットな彼女8」(鴨志田一)

ネタバレ全開なので気になる人は回避推奨。











ななみんがふられました。
いや、いいんです。最後にななみんがふられることなんてわかりきっていたんです。ただね、そこにたどり着くまでの描写が雑だったなと。ましろに対しての思いが「憧れ」だったと気づき、主人公が思い悩むのはいいですが、そこからどうなってましろのほうが好きという決断にいたったかが十分に書かれてない。ましろと違って恋人になってからのイメージが容易にできたはずのななみんが選ばれなかった理由が書かれていない。なんだか消化不良ですよ。何巻も使って、持ち上げられた後なんだかテキトーにフラれたななみんがかわいそうで俺の中のモーゼが海を割った。
某京大の人が「この作者はラブコメだけで話を進められない」といっていましたが、そうかもしれないですね。八巻まではラブコメ要素はあくまで柱の一つでしかなくて、八巻で恋愛一本で書いたらこうなってますし……うん。あと、作者が自分で「ましろと七海、あなたはどっちを選びますか」とか聞いちゃうのはもう駄目だと思うんだ。
えっ、このシリーズはラブコメじゃなくて天才と凡人の差の話……? 今ななみんの話してるんだよ? 何言ってるの? 頭大丈夫?

私が本巻を受け入れられないのはななみんを好きすぎるからな気がしてきましたが、このシリーズに登場するヒロインで唯一人間っぽいのがななみんしかいなかったので致し方ない。致し方ないんですよ。傷心を癒すために勧められた『Kaguya』読んでみますかね。『とらドラ』は読まないよ、死んでしまうもの。
(葛宮)