名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

虎よ、虎よ! (アルフレッド・ベスター)

最近、復刊されたみたいですね。私が読んだのは古い版なので上の表紙絵が少し心苦しいのですが。

ジョウント”と呼ばれるテレポーテイションにより、世界は大きく変貌した。一瞬のうちに、人びとが自由にどこへでも行けるようになったとき、それは富と窃盗、収奪と劫略、怖るべき惑星間戦争をもたらしたのだ! この物情騒然たる25世紀を背景として、顔に異様な虎の刺青をされた野生の男ガリヴァー・フォイルの、無限の時空をまたにかけた絢爛たる〈ヴォーガ〉復讐の物語が、ここに始まる(amazon内容紹介より)

展開の速さと迫力に圧倒された作品。まぁ、はっきりいってこの小説の世界自体がすでにダイナミック。とはいえ、世界観ということであればゴーレム100の方が、下品でグロテスクなためかよりインパクトがあったように思われます。迫力という点においては、何をおいても主人公ガリヴァー・フォイル。復讐劇といってもいろいろありますよね。例えば、秘められた焔をたぎらせつつ緻密に冷静に仇をとろうという復讐犯とか。しかし、彼は違う。破滅願望でもあるのかと思われるほど、直情的に仇にむかってまっしぐら。その辺り私などは滑稽だなと思ってしまったりもします。が、とにもかくにも物語を加速させ力強いものにしているのは彼でしょう。

そんなわけで、物語の主軸はもちろん主人公ですが、私としてはむしろ彼をとりまく女性陣のほうが面白いのではないかと。彼女達は感情豊か……というか急に怒りだしたりして、「あれ?こんな人だったっけ??」と私などはおもわず思ってしまったのですが、どうでしょう?

作中の実験的(?)表現はもう読んでもらうしかありません。あれを語る言葉がありません。

そして、オチ。。。う〜ん。

なんだか、面白いのか面白くないのかよくわかんないレビューになりましたが、一読の価値はあると思います。というか、読んでみないと分からないものがこの小説には多すぎます。まだ、読んでない方是非一読あれ。(三笠)