名大SF研記録ブログ

名古屋大学SF・ミステリ・幻想小説研究会

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上(村上春樹)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上巻 (新潮文庫 む 5-4)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上巻 (新潮文庫 む 5-4)

村上春樹を読むのは、実は初めてだったりします。
紹介

高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。

二つの物語が同時進行する、という面白い形の小説です。「ハードボイルド・ワンダーランド」でドキドキしたあとは、「世界の終り」でしんみりした、しかし幻想的な雰囲気に浸る、という緩急つけた読み方ができるので、長編ですが飽きが来ません。どちらの物語が好きか、というのも人によると思いますが、下巻ではこの二つの物語が重なり合っていくらしいので、これから楽しみにしようと思います。(小野)